FASHION

矢野経「国内アパレル市場調査結果 2014」にみる注目動向、いま消費者が求めるのは”価格ではなく、品質やブランド”



市場調査機関のパイオニアとして知られる矢野経済研究所は、「国内アパレル市場に関する調査結果 2014」を発表。アパレルメーカーや小売業へ2014年7月~9月の期間に行った独自調査をまとめた同レポートでは、国内アパレル総小売市場動向と予測をはじめ、アパレル関連企業の総売上高ランキングやメーカー、アイテム、ブランド、チャネル別など各市場動向をみることができます。

今回の調査結果サマリーは以下の通り。

| 2013年のアパレル総小売市場規模は前年比101.4%の9兆2,925億円、紳士服、婦人服、ベビー・子ども服のいずれも堅調に推移
2013年の国内アパレル総小売市場規模は前年比101.4%の9兆2,925億円であった。品目別では、婦人服・洋品市場が前年比101.4%の5兆8,290億円、紳士服・洋品市場が同101.2%の2兆5,475億円、ベビー・子供服・洋品市場が同102.2%の9,160億円であった。いずれの品目においても前年を上回り、堅調に推移した。
| 百貨店の都心旗艦店、専門店・セレクトショップ、通販が好調
2013年は大手百貨店の都心旗艦店の大型改装が相次いで実施され、その改装効果により都心の百貨店衣料品売上は伸長した。
また、アパレルや小売(百貨店、ファッションビル等)は通販事業に注力している。インターネットと実店舗の相乗効果を狙い、ネット戦略を強化することで、オムニチャネル化を推進している。
| 価格以外の価値を重視した消費行動が顕著に
2013年は国内景況感の回復を受け、消費者マインドが改善し、都心部の大手百貨店では高額商品が堅調に推移した。大手百貨店、専門店を中心にこれまでの価格重視から、品質やブランドなどを重視する消費行動が見られ、客単価の上昇傾向が顕在化した。

特に注目すべき市場動向としては、2013年は国内景況感の回復を受けた”消費者マインドの改善”によって、”価格ではなく、品質やブランドを重視する消費行動”になっているという分析です。これにより、客単価の上昇傾向が顕在化していることが、好調の背景にあるといいます。

チャネル別では、百貨店各社による「都心旗艦店」大型改装にみられる資本集中戦略が奏功する一方で、大型SCとの業態間の競争激化による地方百貨店の苦戦も深刻化しています。また、専門店チャネルでは、大手SPAや大手セレクトショップが積極的な出店や新業態開発で好調。量販店(GMS)は、次世代顧客の獲得ができず、不振となっています。

昨年からみられる、”安くて、程よくいいもの”から、”ちょっと高くても、もっといいもの”を求める消費動向へのシフトがより明確に顕在化しており、SPA業態の多店舗出店やライフスタイル化の定着により飽和化するファッション業界にとって、変化への対応が急務になっていると捉えられます。

・矢野経済研究所「2014 アパレル産業白書」 http://www.yano.co.jp/market_reports/C56115600

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