電通は、日本の総広告費と、媒体別・業種別広告費を推定した「2014年(平成26年)日本の広告費」を発表。2014年1~12月の日本の総広告費は6兆1,522億円、前年比102.9%と3年連続で前年実績を上回っています。
全体傾向としては、消費税率引き上げ前の駆け込み需要やソチオリンピック2014などで伸長した後、消費税率引き上げによる反動などがあったものの、2014 FIFAワールドカップ ブラジル大会などにより緩やかに成長を続け、通年では6年ぶりに6兆円超の市場規模を記録。媒体別では、「新聞広告費」(同98.2%)、「雑誌広告費」(同100.0%)、「ラジオ広告費」(同102.3%)、「テレビメディア広告費」(同102.8% ※ただし、衛星メディア関連広告費を追加)と、「マスコミ四媒体広告費」(同101.6%)となっています。
また、「インターネット広告費」は同112.1%と、スマートフォン・動画広告・新しいアドテクノロジーを利用した広告が伸び、初の1兆円超え市場に。さらに、「プロモーションメディア広告費」(同100.8%)も3年連続で前年を上回り、全体の押し上げに寄与しています。「インターネット広告制作費」は、スマートフォンのさらなる普及などにより、コーポレートサイト・ECサイト・会員サイトが前年に引き続き成長し、同104.4%の2,274億円と増加。ただし、案件数は増加したものの、前年に引き続き、大型キャンペーンの減少や制作単価の低下がみられたことから、成長率は前年の106.2%に比べ鈍化しています。
業種別では、全21業種中14業種が前年を上回る結果になったものの、2010年からプラス成長を続けた「ファッション・アクセサリー」市場は同97.0%の1138.2億円で、婦人服、紳士・婦人靴などを要因に減少する結果に。一方で、雑誌の全体傾向は前年横ばいの2,500億円ではあるものの、シェアの高い「ファッション・アクセサリー」(同100.5%・660.2億円)、「化粧品・トイレタリー」(同100.2%・307.7億円)と微増ではありながら、堅調に推移しているとしています。
そのほか、同市場では、「ラジオ」が同115.4%・7.5億円と増加したものの額は少なく、「地上波テレビ」が同95.8%・332.6億円、「新聞」が同84.8%・137.9億円と減少しており、雑誌以外のマス4媒体への投資が減少傾向にあります。その一方で、具体的な数値としては発表されていませんが、前述の結果からもオムニチャネル化が加速している、ファッションのデジタル領域におけるマーケティングコストの成長は今後も見込まれるといえます。
最後に特筆すべきは、休刊のニュースが続き出版不況といわれるなかで、ファッションカテゴリにおける雑誌広告費は減少していないということ。今回の発表ではあくまで全体動向の把握でしか過ぎません。2015年度は、どのような潮流が生まれていくのか。F.M.J.としても、その詳細動向と要因分析を行っていきたいと考えています。