英国のEU離脱の方向が決まったことで、国内のファッションビジネス業界でも影響が広がっている。各企業とも当面は株価や為替など国内経済への影響を不安視する。現地に生産や販売の拠点を持つ企業は、英国が離脱した場合のポンド安やEUとの関税など環境変化への情報収集や対応を急ぐ。
EU離脱を選択した投票結果については、「できれば残留を希望していたので、離脱の結果は残念」(廣内武オンワードホールディングス会長)と受け止められ、今後も「為替や株価の乱高下によって市場が混乱し、実体経済にも影響が出る懸念がある」(鈴木純帝人社長)と、各社とも国内経済への影響を注視する。一方、八木通商の八木雄三社長は「英国にとって短期的にはマイナスかもしれないが、長期的にはプラスになり、迅速な意思決定など強い英国が復活するのではないか」という見方を示す。
現地で生産や販売を行う企業にとっては、ポンド安の影響が想定される。東レは「英国内とEU域内へのテキスタイル販売は、短期的にはポンド安によるメリットを受ける可能性がある」と指摘。ただ、英国以外のEUなど「域内に拠点を構える取引先への影響」(鈴木帝人社長)は懸念材料だ。
英国で「ジョゼフ」を展開するオンワードホールディングスは「EUからの仕入れがコスト増になるなど、ビジネスへの影響は避けがたい」(廣内会長)と見る。ただ、同社を含めてアパレル関連業界では全体に「英国での販売金額は小さく、連結決算上の影響は小さい」(ワコールホールディングス、アシックス)ため、短期的な業績への影響は軽微との見方だ。
[元記事:英国EU離脱 日本国内業界の反応は]