PAL GROUP 新卒採用サイトより
過去2回「人材視点でファッションの次世代を読む」では”いかに優秀な人材を確保するか”という視点で考察してみましたが、3回目の今回は確保した人材を”いかに育てるか”ということについて、F.M.J.として考えてみました。
| “経営者”を何人育てられるか?
先日、SPAアパレル企業のパルが6つの新業態を展示会形式で披露しました。今回立ち上がった新業態は、社員の声から生まれたボトムアップ型のブランド。
同社は徹底的な「現場主義」を掲げており、年2回、アルバイトも含めた全社員が社長に意見を直接提案できる「拝啓社長殿」というユニークな制度があります。これまで「GALLARDAGALANTE(ガリャルダガランテ)」「mystic(ミスティック)」など同社のブランドの大半が、当時の次世代幹部がこの制度を利用して生み出し、成功させてきたものです。
通常、ブランド立上げや商品開発は企業の上層部からトップダウンで生み出されるケースがほとんどです。たしかにブランドビジネスや商品開発のノウハウを持っているのは役職者ですが、こういった「全スタッフが経営に参加している」「自分もブランドを立ち上げられるかもしれない」という”ワクワク感”を与えて、現場を動かす社員のモチベーションを高めることが、会社全体に勢いを生み出すことに繋がるといえます。
他社の事例でも、ユナイテッドアローズの社内ベンチャー制度「UAラボ」など、現場にある次世代の芽を大切に育成、活用しようという取り組みが見受けられます。
企業(ブランド)と社員が単なる雇用の関係だけではなく、WIN-WINの関係で結ばれており、社員1人1人に「自分が会社(ブランド)の経営者である」という主体性が芽生えれば、「お客様に愛されるブランドにするためには」という事を常々考えるようになり、モチベーションの向上だけではなく、マーケティング力のボトムアップにも繋がるのではないでしょうか。