昨日に続き、本日も”いま世界で最も話題のプロモーション” をご紹介します。
カンヌライオンズのチタニウム部門(斬新なアイデアを評価する部門)でグランプリ、フィルム部門でゴールドを受賞した、アメリカ「Unilever(ユニリーバ)」の日本でもおなじみのブランド「Dove(ダヴ)」のプロモーションムービー「Real Beauty Sketches」です。
「Dove」の調査では、世界中で自分を美しいと思っている女性はたったの4%しかおらず、反対に、半数以上の女性(54%)が「自分の見た目に一番厳しいのは自分である」ことを認めているというデータがあり、その結果にもとづき展開されています。YouTubeで公開後、約1週間で再生回数が2,000万回を突破したこの動画はそのデータの実験動画になっています。ストーリーは、元FBIであり、事件の目撃者の証言などから犯人の顔を描く似顔絵捜査官の画家が、2枚の絵を描きます。
1枚は、本人に対し「あなたの最も特徴的な部分は何ですか?」といった質問を行い、女性たちは「大きくて丸い顔」や「とても広い額」といったネガティブな回答しながら、その回答をもとに似顔絵を描きます。もう1枚は、その前に待合室で会った赤の他人の証言にもとづくその女性の似顔絵です。すると打って変わり「いい感じの細いあご」「可愛いい鼻」「素敵な青い目」といったポジティブな回答がでてきます。
そして、出来上がった2つの似顔絵。1枚は本人の説明にしたがって描いた彼女たちの顔。そしてもう一枚は他人の説明を元に描き上げた顔。他人の証言を元に描いたほうがよりオープンでハッピーな顔をしていることがわかり、自分では短所ばかりだと思い込んでいた特徴が、他人から見るとそんな事はないという事に気付き、被験者は笑顔になり、本当の自分の美しさに気付きます。
「Dove」が伝えたいのは、「You are more beautiful than you think. -あなたはあなたが思っている以上に美しい。-」ということ。「Dove」は、美しさが悩みの種ではなく、その人の自信の源となるような世界を築くことをブランドのミッションとしており、そのメッセージを伝えるためのブランディング・プロモーションとなっています。
同じく「Dove」のCM「Dove Camera Shy」もフィルム部門でゴールドを受賞。これは、「”When did you stop thinking you’re beautiful?”(自分を美しいと思わなくなったのは、いつですか?)」というタグラインと同時に、カメラを前に照れて顔をそむける女性たちの微笑ましい姿をコラージュした後、逆にカメラの前で無邪気に遊び回る子供たちの姿へと切り替わるというもので、だれもが一度は経験したことあるシチュエーションで共感を誘う作品となっています。
昨日ご紹介したカンヌのキーワードに「ソーシャルグッド(世のため人のため)」がありますが、もうひとつ全体的にいえるのは、クリエイティブが「シンプルなメッセージ」になっていることで、幅広い人の共感を呼び、話題になっているということです。企業やブランドは、プロモーションにおいて言いたいことはもちろんたくさんありますが、モノや情報が溢れ過ぎている時代だからこそ、シンプルにブランドを訴求する共感コンテンツをソーシャルで展開し、それがシェア(拡散)されていく、それがいま話題になるプロモーションのポイントとなっていることがわかります。
こちらも是非一度、以下の動画をご覧になってみてください。
・「Real Beauty Sketches (日本語字幕ver.)」