ファーストリテイリンググループで低価格衣料品を手がけるジーユーは、ネット販売事業を強化している。5月には自社通販サイト「ジーユーオンラインストア」の開設4周年を記念して、同社初となる送料無料分のクーポン配布やネット販売限定の割引企画などを展開し顧客獲得を図っている。
現在、同社の販路は約270店の実店舗と自社通販サイトで構成されており、ネットの売上規模は全体の5%程度。サイトへの流入はスマートフォンユーザーの拡大によって近年はモバイルがややPCを上回っているものの、おおむね半数ずつの比率となっている。
同社が通販サイトを開設したのは2010年の4月で、以降は実店舗・ネット向けの情報アプリ・クーポン配信やLINEを使ったプレゼント企画などを次々と実施している。定期的に割安感を演出するキャンペーンを行うことでモバイル会員数(公式アプリ・LINEユーザーとメルマガ会員の合計)は着実に増加し、今年5月時点では1100万人以上を突破するなど好調に集客が進んでいる。
今回はネット販売限定の取り組みとして、5月10日~18日までサイト利用者を対象に送料無料分に相当する450円のクーポンを配布。その内10~11日と17~18日の週末4日間は「ウィメンズトラックパンツ」や「メンズフルジップアップパーカ」などを約3割以上値引きして販売した。「送料がネット購入のネックになっていた部分もあるので、この設立4周年という節目を機会に(無料)企画を行い既存顧客の引き上げだけでなく新規の獲得を図りたかった」(同社)と説明。期間中は当初の想定を超えるほどサイトへの送客効果があったという。
著名人の着こなし投稿企画も後押し
そのほかにも、4月7日にはスマホ用の画像共有アプリ「インスタグラム」を活用したデジタルカタログサイト「GU TImeLine(ジーユー タイムライン)」を開設。同サイトは同社の春夏主力商品であるグラフィックTシャツについて、サンプリングを提供した人気モデルやタレント、ブロガーが投稿した各自の着こなし画像を閲覧できる内容になっている。
投稿には通販サイトへのリンクボタンも付けられており、閲覧者がクリックするとそれぞれの投稿画像の商品購入ページに移るようになっている。現在のところ人気の投稿には利用者から1万件を超える「いいね!」が付けられるなど、好評の企画として閲覧数が伸長。気温上昇などの季節要因も加わっているが、同商品の4月の売り上げは実店舗・通販サイトともに開設前の3月と比べ飛躍的に拡大したという。「トレンドチェッカー的な利用のされ方で、これまで当社の商品に興味を持っていなかった人に対しても目に触れられる機会が増えている」(同社)とした。
[元記事:ジーユー、初の送料無料企画で集客、運営4年で会員数1100万人]
「GU(ジーユー)」は、アプリやSNSの活用と、リアルイベントを組み合わせた立体的なデジタル・マーケティングに積極的な企業。特に前述の「GU Timeline」では、2週間ごとにファッショニスタにグラフィックTシャツの着こなしをInstagramで投稿してもらい、そのまとめとしてキャンペーンサイトを展開するなど、同社はスマホを若い世代中心に”一番身近なマスメディア”であると位置づけ、SNS閲覧に多くの時間を費やす若年層に向けたマーケティング施策として注力。アプリ、LINE、メルマガが、毎週の集客を牽引しているといいます。
先日13日(火)に発表されたのは、今秋の台湾出店2店舗。日常のあらゆるシーンでファッションを”自由”に楽しめる低価格ブランドとして、ファッション性強化や国内大量出店をはじめ、グローバル化を進める同社の事業戦略に今後も注目できます。
・「GU Timeline」 http://www.gu-japan.com/gutl/