2015春夏も立ち上がり、ファッションブランド各社による様々なコンテンツがリリースされています。
ファッションマーケティングの最新潮流としてF.M.J.が着目しているキーワードは、コンテンツの”ローカルコミュニティ化”と”メイド・イン・ジャパン”です。注目ニュースから2つをご紹介します。
|ニコアンドトーキョー「niko and…25人が見つけたMADE IN JAPAN」
2014年10月にオープンし話題を集めたトリニティアーツ「ニコアンド(niko and …)」の旗艦店「ニコアンドトーキョー(niko and … TOKYO)」は、”雑誌のように編集し、特集と連載を持つ”お店。第1弾「45日のポートランド」、第2弾「旅と朝食」に続き、第3弾として3月7日から開催中なのは、「niko and…25人が見つけたMADE IN JAPAN」です。
これは、”日本で作られるつくりの良いもの”をテーマに、バイヤーやプレスなど「ニコアンドトーキョー」に携わる25人のスタッフが目利きとして、全国から”MADE IN JAPAN”の商品を各自の視点セレクトする企画で、日本各地で作られている伝統的な和食器、ガラスメーカー「廣田硝子」、福岡県久留米市で創業した「ムーンスター(moonstar)」とのコラボスニーカー、ストリートストリート浮世絵シリーズ「すとり~と百景」など、古き良き日本のものから新しいカルチャーを感じられるものまで、約2,000点を越えるアイテムを販売しています。
各商品は、アイテムの解説に加え、その魅力やセレクトした理由を紹介するコメントが似顔絵と共にPOPとして添えられています。プレスの佐久間義高さんは、今回の企画背景を「ブランドのうんちくやコンセプトなど、ありきたりな情報を渡すようなブランド側からの一方的なコミュニケーションではなく、スタッフが実際にユーザー目線でのコメントを添えることで、よりお客様に身近に感じて頂き、一緒に共感していきたいという思いから、今回はこのような形で提案している。」とコメントしています。
「アーバンリサーチ(URBAN RESEARCH)」が、2014年9月からスタートしたのは、日本全国の良品にまつわるコミュニティとともにデベロプするローカルコミュニティプロジェクト「JAPAN MADE PROJECT」。第1弾では、長崎県の陶器や染め物、食品メーカーなど地場産業とコラボレーションしたオリジナル商品を開発。その第2弾として「金沢」の地にフォーカスをあてた、プロダクトの販売を3月14日からスタートしています。
金沢でクリエイターとして活躍する岩本歩弓をキュレーターとして迎えた今回は、金沢でこれまで脈々と受け継がれてきた「金」と「クラフトマンシップ」に着目し、「金とブローチと定番」をテーマに石川県在住の職人に金や金箔を使った作品などの新作の開発によって同店のみの取り扱いとなるものをはじめ、様々なプロダクトを制作し、販売しています。
|コンテンツの”ローカルコミュニティ化”と”メイド・イン・ジャパン”の付加価値
「ユニクロ(UNIQLO)」や「Gap(ギャップ)」にもみられる、”地域密着型”マーケティングは、グローバルSPAのみならず、セレクトショップやライフスタイルブランドなど、ファッション業界全体の潮流となっています。SPA化や多店舗展開により商品やサービス自体での差別化が難しい昨今、地方出店も進んだことで地域と繋がり、その活性化に貢献することで共感と集客を図りながら、地元に愛される店舗を目指す取り組みといえます。
ローカルが持つ特有の技術やカルチャーとのコラボレーションによって自社のコンテンツとして共同開発し、そこにあるコミュニティと繋がりを持つことで地域と共存共栄する、さらにそれを”メイド・イン・ジャパン”の付加価値としてグローバルへ発信していく、そんな時代とマーケットの気分をあらわすアウトプットが今後も増えていきそうです。