「ユニクロ」は7月30日、今秋冬より展開するシルク・カシミヤ製品の発表会を行った。デザインディレクター兼アートディレクターの滝沢直己、ファッションディレクターのニコラ・フォルミケッティ、ファーストリテイリングの國井圭浩グループ上席執行役員が説明した。
滝沢氏はユニクロが掲げるコンセプト「ライフウェア(LifeWear)」についてプレゼンテーション。「ユニクロがこれまでずっとやってきたことを端的明快に表す言葉が見つかった。ユニクロは世の中になかった被服生活、つまりプロダクトを取り巻く日常の中でのストーリー自体を創出してきたが、それが『LifeWear』という言葉に結実した。業界の中でも”オートクチュール”や”スポーツウエア”などと並ぶような、新たな役割を持つカテゴリである」と説明。
「LifeWear」はヒートテックやウルトラライトダウン、レギンスパンツなど12のプロジェクトに分かれる。それぞれが、「スマートフォンのアプリケーションのような役割を果たし、シーズンを追ってそれぞれがアップデートしていく」と滝沢氏。今季は普段使いされないラグジュアリー素材であるシルクとカシミヤを低価格で世界展開する。
國井執行役員は「シルク商品は、前年比10倍以上となる約160万点、カシミヤ商品は約590万点(カシミヤ100%は約290万点、10%カシミヤブレンドは約300万点)を目指す」としている。
[元記事:ユニクロ、シルクとカシミヤを低価格で世界展開]
今回の秋冬主力商品の発表と滝沢氏が話す「LifeWear」の新カテゴリとしての考え方も注目ですが、F.M.J.として特に注目したいのは、そのマーケティング・プロモーションです。キャンペ-ンビジュアルは、フランスのファッションマガジン『purple FASHION』編集長のオリヴィエ・ザム氏がアートディレクションを担当。シルクプロジェクトのイメージキャラクターには、スーパーモデルのリリー・ドナルドソン、ウィメンズのカシミヤプロジェクトには、ハリウッド女優のクロエ・セヴィニー、メンズは今回のビジュアル撮影のフォトグラファーであるライアン・マッギンレー本人が登場し、店頭やWEBをはじめとした広告ビジュアルを展開しています。
このようなスーパーモデルやハリウッド女優を起用し、それに伴うファッション業界トップクラスの豪華クリエイターを起用したキャンペーンビジュアルの展開は、グローバルブランドであれば一般的ではありますが、「マークスタイラー」や「サマンサタバサ」などにもみられるように日本発のドメスティックブランドがそれを行うことで、あたえるインパクトや話題性はもちろん、ブランドの本物感やファッション感の醸成によるステータスUPを図る施策として有効な手段であるといえます。
特に「ユニクロ」によるこのような取り組みは初ではなく、2009年にはフォトグラファーのマリオ・テスティーほか豪華スタッフ陣とモデルTAOほかスーパーモデル12名を起用、2010年はオーランド・ブルームとシャーリーズ・セロン、2012年はハリウッド女優のダコタ・ジョンソンを起用するなど、「ユニクロ」のグローバルマーケティングキャンペーンとして成功パターンのひとつとなっていることがわかります。