ベンチャー企業のFlickfit(フリックフィット)が2016年春夏シーズン中のローンチ予定で開発を進めているのは靴のバーチャル試着サービス「フリックフィット」だ。
同サービスは、足専用の3Dスキャナやスマホアプリを介して自分の足のサイズデータを登録しておくと、導入先の通販サイトで気になるアイテムを見つけた際に、バーチャル試着ボタンを押すだけで靴の履き心地がヒートマップ表示されるサービスで、一度自分のサイズデータを登録しておくことにより、ネット上での靴選びが楽になるという(画像はイメージ)。
2年ほど前、3Dプリントの会社を経営していた同社の廣橋博仁CEOが、ファッション好きの友人から「ネットでパンプスは買いにくい」と言われたときに、3Dデータを活用したアイデアを思いついたようで、1商品当たりのサイズ展開が多く、試着の重要性も高い靴に照準をあて、とくにパンプスをターゲットにEC利用の課題解決につながるサービスとして開発に乗り出した。
「フリックフィット」では、特許出願中という特殊な方法で計測した靴の内寸の3Dデータと、EC利用者の足の3Dデータを比較するアルゴリズムを千葉大学と共同研究し、コンピュータビジョンと呼ばれる画像処理技術によって履き心地をヒートマップで表すことで、ユーザーが靴の購入を検討する際に役立ててもらう。
導入先の主力ターゲットはEC運営企業で、足の詳細データをスキャンできるアプリを開発することでバーチャル試着ツールとして利用してもらう。現状、足専用の3Dスキャナで計測した足のデータと、アプリを介して計測した足のデータの誤差を縮める作業を進めており、8月末をメドに技術面の課題をクリアしてサービス提供を始めたい考え。
並行して、靴の内寸データの収集も進める。まずは、ノウハウを蓄積するために自社でサイズ計測を行っているが、サービスが軌道に乗れば、採寸作業を仕組み化し、ささげ業務として外部に委託することもあり得るようだ。
また、EC以外では商業施設や靴専門店といったリアル店舗に専用のスキャンを設置。来店客に3Dスキャンを試してもらい、売り場の靴のデータと比較したヒートマップを確認できるようにするなど、接客の補助ツールとして利用してもらうことも想定している。
フリックフィットでは、「テクノロジーを使うことで消費者とブランドやEC運営企業との関係強化に貢献したい」(廣橋博仁CEO)としており、さまざまな靴のブランドを横断しながらネットショッピングが楽しめる環境を整えたい考えだ。また、”価格”ではなく”試着”を切り口にした新たな市場の創出を目指す。