「ビューティフルピープル(beautiful people)」の14-15AWコレクションのインスピレーション源は、1969年に行われたビートルズのルーフトップコンサート。ロンドン・サヴィル・ロウにあるアップル・コア社の屋上で行われたその伝説的ライブでのビートルズのメンバー達と、昼休みにライブを観に集まってきたスーツ姿のビジネスマンやOL達のエレガントなスタイルを現代のトラッドスタイルとして表現した。
前シーズン、プレフォールと今デザイナー熊切秀典はビートルズにはまっているようだ。今季はポール・マッカートニーがライブで着ていたテーラー「トミー・ナッター」のジャケットからインスパイアされ、特にジャケットやアウターに力を入れた。長めの丈のジャケットやチェスターフィールドコート、オフショルダーのダブルフェイスのジャケットなど、テーラリングをより意識してエレガントに仕上げた。ラペルは大き目。
ブランドのアイコンでもあるライダースは、ウエストベルトを省いてシャープに。ゴージャスなカルガンファーのコートは、寒空の下、ジョン・レノンやジョージ・ハリスンが妻のファーコートを羽織って演奏したという逸話から想を得たもの。
名曲「GET BACK」の歌詞にも出てくるハイネックやクルーネックのセーター、そしてピーコートやモッズコート、白のシャツにピンストライプやチェックなど、60年代を代表するアイテムを今すぐ着たくなるようなバランスでアップデートしている。その頃のビートルズはブーツカットのパンツを合わせていたが、今コレクションではクロップドパンツやロールアップしたノンウォッシュデニムでブランドらしいモダントラッドスタイルに。ウィメンズではリブ編みのニットパンツやタイツなど暖かみのあるボトムも登場した。
カラーはベージュやグレー、ネイビー、グリーンなどベーシックトーンをベースに、カラフルなサイドゴアブーツやローヒールのストラップシューズで色を加えた。バッグは、ボア素材の四角いクラッチや、ライダース風のクラッチを携えている。
ラストの曲は、コレクションのタイトルでもある「ACROSS THE UNIVERSE」。この選曲には趣味趣向や年代を超えた服を作りたいという思いが込めたという。「キッズサイズから、(今コレクションで登場した)肩を落としたエレガントな大人のアイテムまで、服作りの幅を広げることができた。テーマはあったけれど、それを超えるコレクションが作れたと思う」と熊切。
ランウエイには、LEDで光る大きなユニオンジャックが置かれ、ギターを抱えた熊切とその仲間達で結成されたロックバンドが登場。「デザイナーだけ頑張っても良いモノ作りはできない」(熊切)というビューティフルピープルのクリエーションへの姿勢を反映した演出だ。
[元記事:ビートルズと共に世代を超えるビューティフルピープル【14-15AW東京】]
デザイナーの熊切秀典とその仲間達で結成されたロックバンドがライブ演奏
「beautiful people」デザインチームによるバンド演奏は、2013年秋冬コレクション発表時のほか、昨年9月「UNITED ARROWS(ユナイテッドアローズ)」原宿本店 ウィメンズ館の10周年記念イベント”THE PARTY”10th ANNIVERSARYで披露するなど、毎回話題を集めますが、今回は東京コレクション発表のランウェイのステージで演奏するという演出。コレクションのコンセプトをそのアウトプットでデザイナー自らフロントで表現するユニークなアイデアですが、最旬の”ファッションブランドらしさ”とはまさにこういうことを言うのかもしれません。
・「beautiful people」 http://www.beautiful-people.jp/