FEATURE

Vol.1 島崎賢史郎/N magazine 編集長 [後編] 



―若年層のファッション誌離れは業界にとっては深刻ですが、この現状と要因をどう捉えてますか?
島崎:単純に今の雑誌がつまらないからじゃないかと思います。今読んでも、『STUDIO VOICE』とか意外に面白いし、『流行通信』の写真がよかったりとか。今の雑誌って単純に読んでいて、感動するものがないっていう。ファッションって言っているのに、「ファッションっぽいよね」っていう枠の中にある。ファッション誌があって、それをファッション誌だねって思わせてしまったら、これはもうファッションじゃないんじゃないかって。最先端を走って、ファッションという枠組みの中からまた出て、でまたファッションを広げていくものなのに、今の写真は外人で、いいブランド使って撮って、かっこよく撮って、スタジオで撮って「パキっ」みたいな写真がたくさん載ってるんです。それもあってもちろん良いのですが、それってただファッションに見せようとしているだけで、それはクリエイションじゃない。もっと新しいことしていこうとすれば、自ずと面白いファッション誌になっていくんじゃないかなって思っています。ただ、もう出尽くされていますから、厳しいですよね。ただ諦めちゃダメなんです。

―逆に面白いなって思う雑誌ってありますか?
島崎:『QUOTATION』はやっぱり蜂賀さんが凄く魅力的で、蜂賀さん独自の視点でモノを見て編集しているので、確かに凄い他の雑誌にでている人が出ていても、違う発見があったり、違う切り口から出ていたり、内容も深さも面白いなと思います。あとはやっぱりマガジンハウスの『GINZA』は、面白いなって思います。

―マガジンハウスの雑誌は業界でもファンが多いですね
島崎:面白いと思います。でもあれは自分があれをしたら違うなとは思います。タイアップの仕方もすごいうまいし、編集のキレもあるし、企画としても面白い。やっぱりあの雑誌ってデザインとか編集の仕方とか文章とか全てを総合していい雑誌なので、そこは自分とは勝負の仕方が全然違うなって。もちろん編集としては適わないですし、っていう感じですね。

―編集タイアップも受けるんですか?
島崎:はい、受けようと思っています。でも、最近の雑誌のタイアップも本当につまらなくて、ただ服を着せて「パシャ」みたいなのとか、写真も良くないし。そういうのをループでつづけているからダメなんじゃないかなと思います。タイアップするんだったらクライアントとどれだけどういう面白いことをしたいのかを考えて、発信する立場としてやっていかなきゃいけないし、変えていったほうがいいんじゃないかなって思います。もちろんビジネス部分なので難しいと思いますが。

―次号の状況を教えてください
島崎:10月24日発売を予定しています。テーマは「核心」です。モデルやカメラマン、さまざまなクリエイターの核になっている想いがあると思うんですが、それをそのまま作品に表してもらいます。テイストとしては変わらず、面白いもの、かっこいいものを発信していきます。部数も増やします。とはいえ、なにやるにしても一人じゃ正直きついので、ビジネスを一緒にできるパートナーを探してます。広告も絶賛募集中です!(笑)

―ご自身のファッションへの興味や嗜好は?
島崎:自分は見たとおり普通の服着てる人間です。自分自身がハイファッションで纏うのではなく、作品として見たいです。

―では、どちらかというと編集の視点でファッションが好きなんですね
島崎:服を着るというよりかは、雑誌を作っている過程のが好きなのかもしれないです。人に着せて、「かっこいいじゃん、かわいいじゃん、この服ならこの背景で」とか、そういう作ることが昔から好きですね。LEGOを一日中やったりとか、絵を描いたりとか。空手もやっていましたが、型の手の角度は、どのくらいが美しく見えるのかとか。トロンボーンも、演奏会以上に自分の音色を磨いている過程のほうが好きでしたね。

―F.M.J.のコンセプトであり、今回島崎さんに出演をお願いした一番の理由でもあるのですが、現役の大学生であり、編集者でもある島崎さんにとって、若年層のファッション離れについてはどう考えていますか?
島崎:ファストファッションばかりを若者が着ていることについては正直、悲しい面であるかもしれないですね。学校内歩いているだけでも、同じ服を着ている人がたくさんいたりして、個性が今はないんだなあと。

―それは興味が別のところにいってるということなんですかね
島崎:特に他に興味が行っているということもないと思います。音楽も今は売れていないじゃないですか。ファッションも売れてないし。なにが売れているのかこっちも知りたいですよね。

―情報やモノが溢れすぎていて、すべてが薄まっているのかもしれないですね
島崎:SNS社会の浸透で、SNS上でその人の人柄がわかるようになったことで、個性が必要じゃなくなったのではないでしょうか。SNS上で個性を主張できるから、会ったときの第一印象がどうでも良くなるという。また、ネットに実生活が移っていったので、インターネットでみんな会話するようになりましたよね。コミュニケーションの場である飲み会で携帯をいじってるとか、最近よくあります。そういう風潮があるからこそ、インターネットは無料なので、モノの価値がなくなってきているんですかね。だからこそもう一回モノに戻ってくるんじゃないかと思いますけど。みんな新しいもの好きなので。SNSが衰退したらまたモノに戻ってくる。その繰り返しなんじゃないかと思います。また人がモノの良さに気付くときがくると。
あくまで個人的に肌感ですが、モノの価値が再認識されはじめている気がします。そういった意味でもファッションの未来は明るいのかなと思いますよ。
―では最後に、今後の目標や展望をお聞かせください
島崎:「モノとしての雑誌」にとどまらず、活動はこれからどんどん拡大していきたいです。音・映像を表現できる「ウェブ」もやっていきたいですし、カフェとかギャラリーとか本屋とかリアルな「場所」も展開したいです。雑誌も頻度は高くないし、ウェブも毎日は見てくれないかもしれない。そこらへんにふらっと立ち寄って、カフェやギャラリーに人が集まる、そのことでリアルな場だからこそまた新しく発生していくものがあると思うので。そういった意味で場所は大切にしていきたいです。ただ、今は雑誌を続ける事が最重要事項です。
*『N magazine』no.0 誌面より

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Vol.1 島崎賢史郎/N magazine 編集長 [前編]

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