スタートトゥデイは8月29日、千葉県習志野市内の大型物流センターが竣工し、10~11月に本格稼働を開始する見通しとなった。同社では、既存拠点の約3倍の広さを持つ新センターを持つことで通販事業に欠かせない物流機能の強化を図るとともに、来年3月までに当日配送サービスをスタート。競争が激化している衣料品のネット販売市場で一段と存在感を高めたい意向だ。
新拠点は、物流施設開発のプロロジスから新たに賃借するもので、延床面積は約10万8500平方メートル(5階建て)。スタートトゥデイが全フロアに入居し、商品の入荷、保管、梱包、発送作業のほか、撮影や採寸といったフルフィル業務全般を行う。新センターの完成により、3000~4000億円の商品取扱高まで対応できるようになる。
本格稼働後は新センターをメーンとし、近隣にある既存の物流拠点(約3万3000平方メートル)は予備倉庫と位置付けて繁忙期対策などに活用するという。
当日配送については、足回りを担うヤマト運輸の協力を得て、午前中までの注文分をその日中に届けるサービスになると見られ、まずは売り上げの約4割を占める関東エリアからスタートすることが予想される。
スタートトゥデイは、運営する通販サイト「ゾゾタウン」の通常配送は昨年11月から全品送料無料としたが、当日配送には1件当たり数百円の割増コストが発生するため、消費者にその分の負担を求めるかなどを含め、サービスの詳細を詰めている。
ファッションアイテムをその日に届けて欲しいニーズは日用品などより限定的と見ているが、アマゾンなどの総合仮想モールを中心に当日配送に対応する通販企業が増えていることもあり、付加価値サービスの一環として取り組む。
[元記事:スタートトゥデイ 新物流センター、年度内に当日配送開始]
“フルフィルメント”とは、通販で消費者からの発注を受け、商品の梱包、発送といった業務をする管理運営業務のことで、具体的には、受注処理業務、商品の梱包、発送、在庫管理、代金請求、入金処理、苦情、問い合わせ対応、返品業務などです。つまり、自社ECによる売上強化を成長戦略とするファッション企業が増えるなか、当然ですが売上げUPに不可欠なとても重要な業務となります。
今回『通販新聞』記事で掲載されたスタートトゥデイの「当日配送」サービスは、既に「アマゾン」や「楽天」、「ヤフー!ショッピング」が一部でサービス開始しているものですが、記事内容が実現されればファッション通販としては初の試みとなります。”フルフィルメント”は、いかに効率的にコストを抑えて顧客満足と競争力強化に繋がるサービスを実施できるかが整備のポイントです。記事にもあるように、「当日配送」をサービス化することでのコスト増は避けられず、実施における障壁となっています。
そうした課題をクリアすることで、「今日ネットで頼んで、今日手元に届く」という”新たな洋服の買い方”の標準サービス化が進めば、こちらもトレンドワードとなっている各社の”オムニチャネル”戦略もより加速化することが予想されます。そういった面からもファッション通販のリーディングカンパニーである、スタートトゥデイの今後の動向に注目できます。