フランスのフレグランスメゾン「ル ガリオン(LE GALION)」は、ナポレオン一世の義理の兄弟であり、ナポリ王であったジョアシャン ミュラの子孫、プリンス ミュラによって1930年に創業された。
1935年、当時才能を発揮していた調香師ポール・ヴァシェールが、オーナーに就任。ヴァシェールは、25歳の時に、マルセル・ゲランと共に仕事をし始め、ランバンに入社した。1927年の「アルページュ」や「スキャンダル」などに携わり、成功を収めている。
ポール・ヴァシェールは、自身のメゾンとしても数々の名作を創り出し、マリリン・モンローら数々のセレブリティにも愛されるブランドへと成長したが、1975年に急逝。長女がメゾンを受け継ぐこととなったが、1980年にはアメリカのグループ企業に売却され、低価格化戦略で、フランスとフレグランスのイメージ、ブランドのエレガンスと品質のイメージが失われてしまう。
それから30年以上の時が経ち、2014年、新オーナーとして就任した、ニコラ・シャボの手により、不死鳥のように甦った。オリジナリティーに溢れ、燃えるようでいて、ほのかなフレグランス、希少性が高くラグジュアリーな洗練されたクリエーションが戻ったのである。
メゾンのアイコニックなフレグランス「ソルティレージュ」。
ポール・ヴァシェールが、名香「ミス・ディオール」を発表し、調香師としての地位を確立した頃の作品である。1930年代のニューヨークの有名な、ストーク・ジャズクラブのシグネチャーフレグランスであった同作は、フローラル アルデヒドからなる、ストーリー性に溢れた、魅惑的なフレグランス。80種類以上の天然香料からなる香りは、ホワイトフローラルと、イランイランのソフトなブレンドから、エジプトのジャスミン、デリケートなミモザのノートがナルシスの香りに包まれ、ローズやイリスの華やかな香りが胸を高鳴らせる。ラストは濃厚なアンバーノートに、サンダルウッドとベチバーが香り立つ、伝説的なフレグランス。
レディスフレグランス、「スノッブ」。
1950年代のファッションモデル達は冷たく、固い表情をし、傲慢でスノビッシュな雰囲気を漂わせていた。マンハッタンのスカイラインや、エッフェル塔をバックに、黒を纏うモデルが特徴的で、ニュー・ルックの影響によりトレンドとされていた時代である。ツインセット、パール、ハイヒールが好まれ、当時の映画は、上流階級への憧れを反映する。そんな背景に合わせて、ポール・ヴァシェールはフルーティでスパイシーなフローラルブーケ「スノッブ」を作り上げた。強いパーソナリティが感じられる香りは、ホワイトフラワーのブーケにローズが加わり、官能的なノートが生み出される。サフランがスパイシーさを加え、貴重なウッドノートがほのかに主張する。サンダルウッドとシダーウッドの後ろからはホワイトムスクがやわらかく香る。
コロン「ホィップ」
1953年、オードリー・ヘップバーンが「ローマの休日」でスターになった頃に、ル ガリオンは「ホィップ」を作り上げた。フレッシュで若々しく、当時のオリジナルに忠実に、コロン独特の爽やかさとトーンを守り、男女ともにまとえるフレグランス。クラシックでフレッシュなシトラスノートを演出しながらも、モダニティも合わせ持つ。トップノートのシトラスから、タラゴン、ラベンダー、カルダモンがアロマティックノートを加え、ミドルでは、ジャスミン、バイオレット、かすかに香るイリスを中心としたフローラルに、ガルバナムの力強いウッディノートがアクセントになっている。ベースノートはオークモス、パチョリ、ベチバーのグラスオイルによって柔らかさと温かみが交わり、レザーノートが個性を引き立たせる。
ユニセックスのフレグランス「222」
洗練されたエレガントなボトルは、オリジナルボトルのピュアで幾何学的な形と、創業時のアール・デコ時代からインスピレーションを得た、タイムレスなデザインになっている。黒のシンプルなキャップは、ガラスのボトルと完璧なコントラストを描き、エレガンスを表現している。
当時のフォーミュラを現代に蘇らせたメゾンフレグランス。フェミニン、マスキュリン、コロン、ユニセックス、ソリフローレスのカテゴリーに分けられた15種類の香りが楽しめるようになっている。
今回紹介した香りは、ほんの一部であり、よりメゾンのエスプリを感じられるよう、是非実際に香りを体験することをおすすめしたい。
価格は、各100ml 18,500円(税抜)。7月21日より、阪急梅田本店で販売中だ。
問い合わせ/インターモード川辺 フレグランス本部 0120-000-599
[元記事:一度はフレグランス業界から消えた、伝説のフレグランスメゾン「ル ガリオン」が復刻を遂げ、日本に上陸。]