ジンズホールディングスは、慶応義塾大学医学部発ベンチャーの坪田ラボと共同で、近視の進行を抑えると考えられている光「バイオレットライト」を使った「近視抑制メガネ型医療機器」の開発に着手する。
慶応義塾大学の坪田一男教授によると、近視の人口は世界的に増加しており、2050年に世界人口のうちの半分が近視に、9.8%が失明リスクのある強度近視になるという調査報告があり、現代社会において見過ごせない疾患だという。さらに、これまでは加齢に応じて進行が止まるものだと考えれれていた近視が、小・中学生の間に近視が進行した場合は、その後年齢が上がっても進行が止まらず、強度近視になるリスクが高いことも発表されている。
こうした問題を解決する鍵として近年注目されているのが「バイオレットライト」だ。バイオレットライトは、太陽光に含まれる短い波長、340~400nmの領域の紫の光で、近視が進行するのを抑制するという研究成果が報告されている。屋外での活動時間が短くなっている現代社会では、バイオレットライトを浴びる時間が減り、近視進行の原因のひとつになっているという。
このような状況を受けて、JINSは坪田ラボと共同プロジェクトを開始し、バイオレットライトを照射するメガネを開発。2023年頃には医療機器として製造販売承認の取得を目指す。まずは近視が進行しやすい6〜12歳の小学生を対象に開発予定で、屋外環境に3時間滞在するのと同じ照度のバイオレットライトを照射する設計となる。ライトは直接目に入らない仕様、普通のメガネと変わらないデザイン、子どもにも安心な軽量性・弾力性に優れた素材を使用する予定。
田中仁社長は、「ジンズは近視のない未来を本気で目指す。近視進行抑制メガネ型医療機器の開発は、メガネが持つ”視力補正”という根本的な役割から”近視の進行そのものを抑制するソリューション”へと進化するための新たな挑戦です」とコメントした。