アンダーカバー(UNDERCOVER)の25周年を記念した展覧会「LABYRINTH OF UNDERCOVER “25 year retrospective”」が、東京オペラシティ アートギャラリーで10月10日よりスタートした。会期は12月23日まで。
アンダーカバーは、デザイナー・高橋盾が文化服装学院の学生であった1990年より活動を開始。「先のことなど考えず、根拠なき自信と反骨精神を武器に始めた」と、高橋本人は語る。
25周年を迎えるにあたり、昨年はブランドの原点であるグラフィックプリントをテーマとした展覧会「”TGRAPHICS” 1990-2014-HISTORY OF UNDERCOVER T GRAPHICS」を開催。”手刷りのTシャツ”でアンダーカバーはストリートでの人気を不動のものとし、94年からは東京コレクションに参加、2003年にはパリコレクションで世界デビューを果たす。本展はそのコレクションピースにフォーカスを当てるべく企図され、キュレーターを介さずに高橋自らが構成や展示内容に至るまでを手掛けた。
サーカスの入口をくぐり抜けるようなワクワク感とともに最初に現れるのは、94-95AWから16SSまでのショー映像を上映する4つの部屋。館内に飾られたコレクションピースは約100体に上り、ストリートからの昇華を感じさせる初期のルックを見れば、当時の記憶が蘇る人たちも多いことだろう。スカルや臓器など毒気を放つシュールなディテールと、愛らしい動物やフルーツに花といった相反するモチーフが共存するクリエーションには、ファッションの領域におさまらないカルチャー性に富んだアンダーカバーの真髄が感じられる。
圧巻のアーカイブを取り巻くのは、随所に灯されたポップなネオンと、高橋の軌跡を辿るデザインノートや油絵、象徴的なドールたち。これらのすべては詳細の説明書きを持たず、場内を歩き目に入るものを記憶に焼き付けるほどに”迷宮(LABYRINTH)”へと足を踏み入れた感覚に陥る。途中現れる窓を覗くと、アトリエの一片を切り取った空間に高橋の面影を見ることだろう。
高橋は、「ゴールなき迷路をさまよいながら生まれた数々の作品たちは、混沌とした脳内の細胞を不安定なバランス感覚で具現化したもので、まさに自分の分身と呼べる。混沌と調和と言えばいいのか、相反する要素を融合することで僕のクリエイションは成り立っている。この展覧会を開催するにあたり、過去を振り返るといまだ脳内迷路をひたすらゴールめがけてさまよっている感覚に陥る。先はまだまだ見えないが、この機会に僕の脳内迷路を共有できたら」とコメントしている。
【イベント情報】
「LABYRINTH OF UNDERCOVER “25 year retrospective”」
会場:東京オペラシティ アートギャラリー
住所:東京都新宿区西新宿3-20-2
会期:10月10日~12月23日
時間:11:00~19:00(金・土は20:00まで、入場は閉館の30分前まで)
料金:一般 1,200円、高大生 800円、中学生以下無料
休館日:月曜日(祝日の場合は翌火曜日)
[元記事:ファッションの領域を超えたアンダーカバー25周年記念展、高橋盾の脳内迷路を廻る]