伊勢丹は、企業アイコンのタータン柄を10月30日よりリニューアルする。これまでの「マクミラン/アンシェント」の色と柄をアレンジし直して、オリジナルの「マクミラン/イセタン」として一新する。同店のショッピングバッグを始め、様々な場面で展開する。
タータンはイギリスのスコットランド北部の高地地方で織られ、古くは家紋として用いられてきた。現在ではブリティッシュトラディショナルに欠かせないパターンとして様々なファッションに取り入れられている。
伊勢丹では1956年、伊勢丹新宿店のティーンエイジャーショップがオープンし、その後、最も派手で目立つ柄を選んでアレンジしたショッピングバッグが誕生。後に全館で使用されるようになった。2012年秋、長年にわたり日本におけるタータンのプロモーションに貢献したとして、スコットランド・タータン協会がタータン・アワード「Best use of tartan in packaging(パッケージ部門)」を世界で初めて伊勢丹に授与。伊勢丹は受賞を機に、改めてアレンジしたオリジナルの布地を織り、「マクミラン/イセタン」を製作。全世界のタータンを一括統制するためスコットランドが国として管理する「スコットランド・タータン登記所」に正式登録された。
また同館は新タータン誕生に合わせて、記念イベント「ISETAN TARTAN ワタシノタカラバコ(仮)」が10月30日から11月5日まで1階ザ・ステージにて開催。新タータンを使用した様々な人気ブランドやデザイナーの特別限定品を販売する。ファブリックは世界最大手のタータンメーカー「ロキャロン・オブ・スコットランド」を中心に使用。タータンとゆかりの深いスコットランドブランドの「マッキントッシュ(MACKINTOSH)」や「クイーン・アンド・ベル(QUEENE&BELLE)」「ジョンストンズ(Johnstons)」「ハンター(HUNTER)」の特別アイテムを始め、「ミナ・ペルホネン(mina perhonen)」のバッグや「ボビーダズラー(Bobby Dazzler)」のぬいぐるみなどが登場。その他、家具やステーショナリーなどがそろう。また、会場装飾のアートディレクションには「スマイルズ研究所」が担当。
[元記事:伊勢丹のタータンが10月リニューアル。記念イベントも開催]
今回、注目したいのが、その歴史から”意図せず”人気になり、単なるショッピングバッグからファッションアイテムとして広まっていった、伊勢丹の”タータンチェック”が、オリジナルのパターン「マクミラン/イセタン」として正式に登記所に登録されたことをきっかけに、ショッピングバッグなどの新用度品、企画商品に使用し、のれんやCIロゴと同様に、「伊勢丹」を表すブランディングツールのひとつとして”意図して”活用されるということです。
百貨店を象徴する柄というと、イギリス・ロンドンのリバティ百貨店を有名にしたブランド生地「リバティプリント」が思いおこされますが、伊勢丹もその歴史は古く、約55年ぶりのリニューアルになるとのことで、”伊勢丹といえば、あのタータンチェック”というイメージがあるだけに、顧客の反応は気になるところです。
昨年2012年10月に開催されたイベント「SHINJUKU STYLE COLLECTION」で”新宿ファッション”として発信された、タータンチェック柄のボディウェアをまとったモデルのランウェイも印象的でしたが、伊勢丹を象徴する柄のリニューアルが今後どのように活用され、”ファッション”としてのブランドイメージ醸成やブランド鮮度に繋がっていくのかがマーケティング視点でも注目することができます。