10月30日、ドコモのスマートフォン向けポータルサイト「dマーケット」内にファッション通販サイト「dファッション」がオープンした。セレクトショップなどを中心に約400ブランドが扱われる。dマーケットを運営するマガシーク取締役戦略本部長・原田由佳氏にサイトについて聞いた。
様々なファッションECやコマースアプリが続々と誕生している中、なぜドコモがファッション通販に進出したのだろう。「世の中にはパソコン向け、スマホ向けに様々な通販サイトがあり利用が拡大しているが、それでもまだ利用者は限られていると認識している。ドコモは6,000 万人以上の契約者を抱えているので、その方々のためのファッション通販サイトを作っていきたいと思い、サービスを立ち上げた」
ただ、ECが一般的になってきたとはいえ、支払いなどがまだまだ面倒なのは事実。そこにはドコモらしい仕掛けを設けた。「ドコモポイントや携帯電話料金と一緒に支払える『ケータイ払い』に対応している。ドコモの契約者様であればクレジットカード登録や会員情報の入力などは不要。ショッピングでもドコモポイントが貯まるので、”様々なドコモサービスでポイントを貯めて、商品を買って、またポイントを貯める”という循環を作りたい。お客様に気軽にネットで商品が買えると思ってもらいたい」。カスタマーサポートも迅速なレスポンスを可能とした体制を敷いているという。
スタートして約1ヶ月が経つが感触はまずまずといったところのようだ。「訪問者数は伸びてきていて、商品をお試しいただくお客様も増えている。ただ、まだ”様子見”という部分もあるので、この間のお客様の動向や商品の売れ行きをしっかりと分析し、ニーズを把握していきたい」と意気込みを見せる。
分析では、30 代を中心に20 代から40 代が多く、夕方から深夜の利用、また休日前の曜日から週末の利用が多いという。現段階ではウィメンズアイテムが多いが、今後メンズも拡充し、2014年度にはキッズ商品の投入を予定。雑誌との連動やドコモグループ企業とのコラボレーションも模索中だ。またスマホで買うという行動が増加しているというデータも出ているという。
「当社が運営するECサイト『MAGASEEK』の動向を見てみると、比較的手頃な商品についてはスマートフォンだけでお買いものを完結させている人は若い年代から増えている。しかし、ある程度の価格までは、十分スマホ向けのみのサービスとして勝負ができると考えているが、今後はパソコンでもショッピングを楽しんでもらえる環境を整備して、高い付加価値の商品が販売できるようにしたい」と今後の構想を語る。
その前にファッションの大きな繁忙期がやってくる。もう年の瀬、dマーケットにとって初めてのセールシーズンだ。「ここからが本当の勝負。お客様へのアプローチを頑張っていきたい。お正月には福袋も用意しているので、こういう機会をきっかけにぜひ一度、ドコモポイントでの購入やケータイ払いをお試しいただきたいと思います」
[元記事:ドコモが立ち上げたスマホEC「dファッション」の展望。マガシーク原田由佳取締役]
「dファッション」スタート時にF.M.J.でもお伝えした注目ポイントは、月々の携帯電話料金と一緒に支払いするキャリア決済に対応している点と、購入することでドコモポイントが貯まるという、他社との差別化となる2つのユーザーメリットです。さらには、来年2月にはパソコンや他社ケータイでも利用可能になるといいます。
昨日の掲載記事[渋谷パルコ「巨大デジタルサイネージ」設置、出店ブランドの商品・店舗情報を提供]でも触れていますが、”ファッションの買い方”の新たなスタンダードが今後どのように形成されていくのか、ファッション流通だけではなく、モバイルキャリア大手としても模索段階にあることがわかります。