88歳で永眠した田名網敬一のアートディレクション〜デザインによるアートブック「おもしろブック」が、9月17日より国立新美術館「田名網敬一 記憶の冒険」展特設ショップ、集英社マンガアートヘリテージ トーキョーギャラリーなどで発売になった。また発売にあわせて、田名網敬一「おもしろブックWORLD」展も開催中だ。
「集英社の少年少女おもしろブック」は、1949年に集英社がはじめて刊行した雑誌だ。山川惣治の「少年王者」が看板タイトルで、刊行当時、中学生だった田名網敬一は、毎月発売日に書店で配達のトラックを待ち構え、棚に並ぶ前に本を買い求めると「ああ、いい匂いだ」とかぎながら家に持ち帰り、抱きながら眠ったという。
創刊から75年の時を経て、田名網敬一のアートワーク〜アートディレクションによって刊行された「おもしろブック」。アーティストとして世界的に評価される田名網は、「PLAYBOY 日本版」創刊時のアートディレクターであり、「Myojo」を含む集英社の様々な雑誌~書籍のデザインを手がけてきた。本作は、田名網がデザインだけでなく企画から関わり、「これがおもしろい!」と感じるものを集めて編んでいる。
サイズはB4判。B5判で出版された「おもしろブック」の連載、山川惣治「少年王者」と杉浦茂「猿飛佐助」を原寸大で再録。また赤塚不二夫×吉勝太による、赤塚マンガの主要キャラ総出演の新作マンガを掲載。英文を併記し、海外の読者にもそのおもしろさが伝わるよう努めた。山川惣治、杉浦茂、赤塚不二夫らと田名網敬一のコラボレーション作品を、新作を含め収録。高発色UVインクを用い、マジカルでビビッドな色を表現している。
収録内容は、アート~マンガはもちろん、ファッション、音楽、文学、旅、料理、占いにおよび、様々な年代のクリエイターとコラボレーションすることになった。また、国立新美術館での回顧展「田名網敬一/記憶の冒険」にあわせて発売された「TTT / The Tanaami Tarot」の付録ヴァージョンを収録。大アルカナ22枚でタロット占いができる。
「田名網敬一の肖像/再訪」は、1966年に自費出版されたアーティストブック「田名網敬一の肖像」をもとに、異なるページのイメージを活版平台印刷機で特色印刷し組み合わせる、というユニークなものだ。