サマサマホールディングスは、国際コーヒーの日である2025年10月1日、東京・三軒茶屋にコーヒーショップ「サマア(SAMAA_)」をオープンした。築70年以上の長屋を再生した空間で、デリシャスネスとサステナビリティの両立を目指す、実験的なカフェだ。素材、生産背景、空間、人との関係性までを一つの循環と捉え、日常にひらかれた選択肢を届ける。初店舗となる三軒茶屋店では、日本とインドネシアの文化が交差する新しい価値観を表現しながら、“抽出家”が監修するコーヒーメニューやインドネシアの伝統飲料ジャムウを使用したドリンクのほか、「エテコブレッド(étéco bread)」がサマアのために開発したベーグルなどを提供する。
Photography: Shin Hamada
Photography: Shin Hamada
「デリシャスネスとサステナビリティのどちらも諦めない。そこに生まれる矛盾を、実験精神で越えていく」サマアは、そんな信念から生まれた。ゲスト、地域、地球環境のすべてにとって“いい選択”であることを目指して、ドリンクやフード・空間・ふるまいの設計を行う。これまでの常識や業界慣習では両立が難しかった課題を、ラボ的アプローチで捉え直し、「美味しさの未来」が続いていく社会を、事業として具体化していく。その第一歩は、一杯のコーヒーから始まる。サマアは、食・空間・カルチャーを融合させた体験型のコーヒーブランドとして事業を展開。デリシャスネス×サステナビリティ×デザインの三位一体で、コーヒーの“フォースウェーブ”を牽引する。
Photography: Shin Hamada
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コーヒー監修は“抽出家”藤岡響が担当。石臼やイブリックによる原始的抽出から、超音波抽出まで、多様な技術で豆の持ち味を引き出す。エテコブレッド監修のベーグルは、ライ麦とサワー種を使った密度ある食感が特徴だ。さらに、インドネシアの伝統飲料ジャムウをアレンジしたオリジナルドリンクも提供。どのメニューも素材や背景を重視し、身体と地球、感覚と思想が共存する設計である。
Photography: Shin Hamada
建築設計は、建物の記憶や地域の素材に向き合う建築事務所「STUDIO DIG.」が担当。築70年以上の長屋を、骨組みを活かしながら改修し、持続可能な建築として再生した。店内にはロングカウンターを設置し、ゲストとスタッフ、文化や価値観が交差する“ひらかれた実験場”としての空間をつくりあげた。家具は廃材やアップサイクル素材を用い、空間全体が循環の思想を体現している。

ロゴは、インドネシア・バンドンを拠点とするデザインスタジオ「NUSAÉ」のAndi Rahmatが担当した。サマアという5つの文字そのものではなく、そのまわりに浮かぶスペースに注目し、“読みやすさ”ではなく“感じる余白”を重視した設計で、サマアの姿勢を視覚化。ロゴデザインは空間やメニューのトーンとも連動し、ブランド全体の世界観の核となっている。

さらに英国の「フード メイド グッド スタンダード(Food Made Good Standard)」を参考に、建築・メニュー・素材のすべてにおいてサステナビリティを追究。コーヒー豆かすはコヤマと連携しブリケット燃料に再生、その他の生ごみは堆肥化して地域へ循環している。器や家具には、「菅原工芸硝子」や「スンガイ デザイン(SUNGAI Design)」など、アップサイクル素材を用いた製品を取り入れ、ユニフォームには古着や天然染料を活用し、資源と文化の循環を日常化している。
ファウンダーの村上雄一は、「ブルー ボトル コーヒー(BLUE BOTTLE COFFEE)」での10年間の経験をベースにしながら、もう一人のファウンダーであるインドネシア人のエドガー・ホンゴーとの再会をきっかけに、環境課題に直面するバリ島でサステナビリティを軸とするレストランやホテルに触れ、「感覚的な歓び」と「社会課題への配慮」が両立できることを確信。現地での学びをもとに、東京でサマアを立ち上げた。今後は、バリ島、ジャカルタなどへの展開を予定。都市と自然、感性と論理が交差する場として、サマアというブランドを育てていく。
























