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ヤマハ発動機とヤマハ合同展示イベント「Breezin’」開催。楽器×電動アシスト自転車で誰もが童心に返って楽しめるアウトドアを提案



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オートバイを中心とした輸送用機器を製造するヤマハ発動機は、楽器・音響機器を製造するヤマハと合同展示イベントを開催中だ。同じ「ヤマハ(YAMAHA)」ブランドながら、別ジャンルの二社が合同で提案するアウトドアの楽しみ方とは?展示中の製品開発を手がけたデザイナーそれぞれに話を聞いた。

Photo: J.L.F.S Text&Interview: Takahiko Makiba Edit: F.M.J. magazine


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グッドデザイン大賞の新楽器「ヴェノーヴァ」でキャンプや野外フェスをもっと楽しむ

ヤマハ発動機とヤマハは、「Two Yamahas, One Passion」をテーマに、特に親和性の高いデザイン部門が一緒になり様々なイベントを行っている。今回は、春の息吹(Breezin’)を感じて新しい一歩を軽快に踏み出したくなるような、カジュアル管楽器「ヴェノーヴァ(Venova™)」のコンセプトモデルと、電動アシスト自転車「YPJ」シリーズの最新モデルを展示する。

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電動アシスト自転車でのアウトドアの楽しみは容易に想像できるが、楽器によるアウトドアの提案とは一体どういったものなのか。「ヴェノーヴァ」は、昨年8月の発売時に、公式な記録ではないものの、約170年ぶりの管楽器の開発といわれ話題になった。2017年度のグッドデザイン大賞を受賞している。楽器での大賞は初めての事だという。「分岐管構造」によってサクソフォンなどの円錐形管楽器の音響特性を円筒管で実現し、コンパクトなボディで広がりのある音色。また、蛇行形状によって、音孔の間を狭めて指で塞ぎやすくし、キイ(音孔を塞ぐための部品)の少ないシンプルな構造のため、リコーダーに似た指づかいで、初心者でも演奏しやすい。

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オートバイのマフラーのコーティング技術を楽器にも応用

ヴェノーヴァはABS樹脂製でホワイトだが、今回の展示では特別色を展示している。この鮮やかな金属色は、ヤマハ発動機が得意とするオートバイの技術だ。「これは、オートバイのマフラーが焼き付かないように加工するヤマハのSixONy(ナノ膜コーティング)という技術を使っています」と話すのは、ヤマハの辰巳恵三・デザイン研究所 主務だ。楽器の素材自体は同じものだが、オートバイのコーティング技術を楽器表面に加工している。軽くて持ち運びしやすいため、鞄に入れて電動アシスト自転車で外に出掛けて使えるというわけだ。

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また、アウトドアシーンで使用する場合に様々な利点があるという。「この製品はABS樹脂のため、水で丸洗い出来ます。そのため気軽にアウトドアで、例えば海辺や山などでも汚れを気にすることなく使用可能です」。近年のキャンプや登山、野外フェスの人気がこれを後押ししそうだ。今年はキャンプ場やフェス会場で「ヴェノーヴァ」を見かけることも多くなるかもしれない。それは1万円という比較的トライしやすい価格と、初心者にも扱いやすいことだ。

「ソプラノサックスと同じマウスピースと、専用リードを用いて発音する管楽器ならではの本格的な吹きごたえで、2オクターブの音域を備えているため、管楽器経験者にも満足いただけます。ただ、コンセプトはカジュアル管楽器のため、多くの方に演奏していただきたいです。リコーダーは小学生の頃にほとんどの方が経験されていると思います。そのため、指使いはどこか懐かしい記憶として残っているものです。使い始めると懐かしい思い出とともに指の動きも蘇ると思いますよ」

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欧米では既に定着しているスポーツタイプの電動アシスト自転車

次に展示されているのが、ヤマハ発動機の電動アシスト自転車の「YPJ」だ。3月6日に発売された新製品のマウンテンバイク型の「YPJ-XC」とロードバイク型の「YPJ-ER」だ。2015年に発売された「YPJ」シリーズの初代「YPJ-R」からバッテリー容量が約5倍、走行距離も5倍に伸びている。自転車本体のフレームデザインを一新し、ディスクブレーキなど最新の規格のパーツを搭載していてバッテリー以外もパワーアップ。アメリカでも発売予定だ。

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小さな子どもを持つ家庭では、電動アシスト自転車は定着したように思えるが、スポーツタイプの需要はどうなのか?ヤマハ発動機の北山亮平・デザイン本部 フロンティアデザイン部 MSRプロダクトデザイングループ主事に話を聞いた。

「ヨーロッパやアメリカでは、こういった電動アシスト自転車のスポーツモデルは既に一つのジャンルとして確立されています。ほとんどと言ってよいほど、大小様々なメーカーから発売され、レースも開催されるほど盛り上がっていますね」。たしかに、スポーツタイプの電動アシスト自転車を初めて見た方の多くが、スタイリッシュで格好良いと感じるだろう。

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「欧米に比べ、日本だとまだまだ認知は低いと思います。こういったスポーツタイプの電動アシスト自転車を“e-バイク”と呼んでいますが、弊社含め、他のメーカーからも今年リリースされるので今年が“e-バイク”元年になりそうですね」。

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多くのメーカーからリリースされているとのことだが、各社の違いは何なのだろうか?

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「法定速度が決まっているため、速度の問題ではなく、漕ぎ出した時にいかに人間の感覚に近いかと言いますか、漕いでる脚を自然にアシストすることが重要になってきます。そういった意味では、弊社の電動アシストユニットのPWseries SEは世界でも高い評価をいただいております」

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YPJで、初めて自転車に乗った時の楽しさを思い出す

電動アシスト自転車を乗った事がない人が驚くのは、急坂でも、座ったまま登れることなのだそう。

「漕ぎ出しが一番力を使うので、坂を登る時に大きく違いを感じられると思います。まさに未体験の感覚だと思います。私も実際にマウンテンバイク型のYPJ-XCに乗って、実際に山でテスト走行した時に、オートバイでもないし、自転車でもない不思議な感覚でした」。

自転車が好きなストイックなユーザーの反応はどうなのだろう。

「自転車にアシスト機能はいらないという声がある事も確かです。ただ、マウンテンバイクで山を走る時は、脚力のほとんどは登りに使ってしまい、そこでかなりヘトヘトになってしまいます。時間のほとんどは登りに使いますし。脚力がないと誰もが楽しめるものではありません。そこにアシスト加わればより多くの方が楽しめるようになります。幼い頃、初めて自転車に乗れた楽しさや遠くまで行けた喜びが蘇ってくるようです。ロードバイク型のYPJ-XCも同じですね。アシストがあればより遠くまでツーリング出来ます。自転車って本来純粋に楽しいものなのだということを思い出させてくれます」。

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体を動かして疲れるからこそのスポーツとも言えるが、アシスト機能がスキーのリフトだと考えると、必要だと感じずにはいられない。プロのライダーにテスト走行を依頼したところ、乗り心地はかなりの高評価だったそうだ。決して初心者向けというわけではなく、誰でも楽しめる機能と考えた方が良さそうだ。「10年後、もしかすると5年後には、半数が電動アシスト自転車になっているかもしれません。自転車の歴史は約150年と言われていますが、それくらいアシスト機能は革命だと思います」。欧米では、e-バイクに対して、通常のスポーツバイクを“アコースティックバイク”と呼ぶそうだ。新しい乗り方や楽しみ、魅力があるという事なのだろう。「誰もが楽しめるもの。道具を越えて、使った人の感情に訴えるものが一番大切なのではないでしょうか。我々はそういったものを作りたかったのです」という力強い言葉で締めくくった。

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ヤマハ発動機とヤマハが掲げる「Two Yamahas, One Passion」は、幅広いユーザーに新しい魅力を伝えるものだ。「ヴェノーヴァ」を気軽に持ち出して、音楽を奏でる事を楽しむ。すると初めてリコーダーを吹いて音を出した時の感動や楽しさを思い出す。「YPJ」に乗って、脚力を気にせず、どこまでも気軽に遠くへ行ける、高い山に登れる。すると初めて自転車に乗って隣町まで行けた感動が蘇る。こうして童心に返って感動を楽しめるのだから、若者よりも大人にこそ必要なのかもしれない。

・ヤマハ発動機・ヤマハ合同展示イベント「Breezin’」
開催地:ヤマハ銀座ビル 1F/ポータル
住所:東京都中央区銀座7-9-14
期間:2018年3月14日(水)〜4月9日(月)
時間:11:00〜19:30
※展示時間はヤマハ銀座ビルの営業時間に準じる
※3月29日(木)は 18 時まで。3月30日(金)は棚卸のため閉店
問い合わせ先/ヤマハ発動機 0538-32-2764

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