「ダーバン(D’URBAN)」や「アクアスキュータム(Aquascutum)」を展開する東証1部上場のレナウンが、子会社のレナウンエージェンシーにより民事再生手続きを申し立てられ、5月15日に管財人が選任された。管財人は、永沢総合法律事務所の永沢徹弁護士。負債総額は138億7900万円。
3月27日、毛利憲司新社長(代表執行役)は、都内で行った就任会見で「新型コロナウイルスで消費は経験したことのないような打撃を受けている」とコメント。レナウンは、消費増税や暖冬、親会社のグループ会社の延滞した売掛金引当などで2019年12月期(10カ月決算)で2期連続の最終赤字を計上していた。継続企業の前提に関する注記(GC注記)を記載していた。
なお東京商工リサーチによると、民事再生開始決定を受けた場合、上場企業の倒産は16カ月ぶりとなるという。
以下、同社リリースにおける「再生手続開始の理由」全文。
「当社は、1902 年の創業以来、アパレル関連製品の企画・製造・販売を手掛け、全国の百貨店・量販店・衣料品店等に対して卸売事業を行うほか、直営店において小売事業を行っておりますが、近年は、消費者の衣料品に対する購買行動の多様化、節約志向による家計に占める衣類の支出割合の低下等に伴い、売上高が低迷しておりました。このような経営環境の中、当社は、2019 年 8 月に中期経営計画“Target 2023”を策定し、「お客様と深く結びつく」、「新たなお客様との出会いを増やす」、「お客様との継続的な繋がりを支える基盤を構築する」との基本方針の下、主力事業等への選択と集中、サブスクリプションサービス「着ルダケ」事業の本格化および EC 事業の強化、不採算・低効率な売り場の見直し等からなる効率的な経営の追求等を目指して参りました。しかしながら、2019年12月期におきましては、消費税増税による消費低迷、夏季の台風による店舗休業、記録的な暖冬による防寒衣料の不振などにより、主力販路である百貨店向け販売が苦戦し、自助努力による経営改善によってはこれらの悪影響を吸収するには至っておりません。そうした中、当社は、親会社である山東如意科技集団有限公司の子会社である恒成国際発展有限公司に対する 2019年12月期中に支払期日の到来する売掛金の回収が滞ったことにより、同期に貸倒引当金繰入額 5,324百万円を計上し、8,309百万円の営業損失を計上することとなりました。また、かかる売掛金の回収遅滞にともない、同期中に入金されるはずであった同額が入金されないこととなったため、当社の 2019年12月期の現金および現金同等物の期末残高は 1,418百万(2019年2月期の同残高比△3,227 百万円)まで落ち込むこととなりました。
これに加え、2020年3月以降は、新型コロナウィルスの感染拡大により全国の百貨店・量販店等で営業自粛の動きが広がり、消費者の巣ごもり傾向および不要不急の外出控えによる購買行動の変化のため、当社の商品は著しい販売減少を来たすこととなりました。2020年4月7日には、政府より7都府県に緊急事態宣言が発令され、16日にその対象地域が日本全国に拡大したことに伴い、百貨店・量販店・ショッピングモールがほぼ全店休業となり、当社は 2020 年春夏物の商品につき、主力販売チャネルでの販売ができないこととなりました。この間、当社は資金の調達および売掛金の回収に注力いたしましたが実現せず、5月中旬以降に到来する債務の支払の目処が立たない事態となったことから、今般やむなく民事再生手続開始決定を受けることになりました。」