東京・世田谷区の東急世田谷線・上町駅から徒歩3分の世田谷通り沿いに6月28日、衣食複合型の新店舗「カイロ(CAILO)」がグランドオープンする。「日常の中で回遊するように、人とモノが交差する場をつくりたい」そんな思いから生まれたカイロは、1階に食、2階に衣の空間を構える2フロア構成の店舗だ。
1Fに創作家庭料理とアルコールを提供する惣菜店「惣菜民味」、2Fに国内ブランドを中心に展示・販売を行う衣料スペースを構え、訪れる人が空間を“回遊”するように楽しめる構成となっている。朝9時から夜22時まで開かれ、地域に根差しながらも、訪れるたびに新しい出会いがあるような場を目指す。
カイロは、営業スタイルの細かな調整はあるが、基本的に朝~晩までの24時間をどう使うかを模索していく複合店舗である。Instagramで営業時間などチェックしての来店がおすすめだ。
1Fの惣菜民味では季節の食材を活かした惣菜はもちろん、お酒との相性も考えられたメニューを展開する。「朝からお酒が飲める惣菜屋」という裏テーマのもと、ホッとひと息つける憩いの場を目指す。また、@goodbye_bakeの焼き菓子も販売。テイクアウトも対応する。
2Fは、国内ブランドを中心にセレクトした衣料を展開し、展示やPOP-UPなども行う多目的空間だ。作家の発表の場としても機能し、「今いい」と感じるモノやコトなどを発信。1階の飲食エリアとともに”回遊”できるような企画も予定している。1Fでランチを楽しんだ後や、夜は酒を片手に、そんな”回路”的な動線で日常を巡るように訪れてほしい、気軽に立ち寄れるファッション空間として、ライフスタイルの一部に溶け込む場所を提案する。
全体の店舗デザインは建築とグラフィックのデザインユニットLAFが設計施工を担当した。元々は店舗奥にあった階段を、1Fと2Fを「回遊」できる動線として手前に螺旋階段を新設。階段の裏にはキッチンとしてのスペースを確保し、1F全体が見渡せる開放的な空間に生まれ変わった。正面入り口には、大きな窓枠を2つ設置。空間が分断されすぎないよう配慮し、内外どちらからも視認しやすい大きさに仕上げた。また、正面入口の取っ手は木工作家・盛永省治による一点ものだ。素材の温もりと職人技が感じられるディテールが、来場者を優しく迎える。
入って右手には高知県産の大木カウンターを設置。奥のカウンターは、東京・荒川区に制作場を構える・大橋左官のコーヒー豆を混ぜ込んだ左官で制作されている。当初は最奥に階段があったが、導線を再考し、入口左手に2Fへと繋がる螺旋階段を設置した。
壁際には、高知県産の大木を加工したオリジナルスツールが並ぶ。チェーンソーで一つずつ成形し、移動型にすることにより、この空間での自由度を上げた。最大で15席弱あり、カウンターで一人飯やしっぽり呑むのも良し、スツールを自由に移動して座ることも可能だ。
2Fは既存の雰囲気を活かしつつ、空間全体を左官塗装で仕上げることで、ほどよくラフであたたかな空気感に整えた。世田谷通り側と裏手側の2面に開いた窓から流れ込む心地よい風、そして裏手にひっそりと設けられた小さなテラスなど、空間のいたるところに心地よさと遊び心が散りばめられている。天気の良い日には、外も自然と売り場になるような、そんな“ひらけた”空間だ。
螺旋階段を上り2階へ行くと、左官と塗装のみで仕上がったホワイトキューブ空間が広がる。中央には1階同様に大木カウンターを設置し、こちらは〇□にくり抜いている。試着室の建具は、1階の取手を制作してた盛永省治が担当した。壁側L字に洋服が並び、1Fでアルコールを注文し、2Fで呑みながら洋服などを見ることが可能だ。多目的空間として時には展示、POPUPなども開催していく予定である。