「深夜でも明け方でも商品届けます」。ソフトバンクの子会社で新規事業などを手がけるSBイノベンチャーが首都圏に物流倉庫を持つネット販売実施企業向けに深夜・早朝の時間帯に購入商品を都内23区在住の顧客のもとに配送する代行サービスを開始した。最速で当日中に顧客宅へ商品を配送する。(写真はイメージ=同サービスのウェブサイトより抜粋)
単身者や共働き世帯などで一定のニーズがあると見られる深夜・早朝帯の配送だが、一般的な配送業者は対応していない。通販事業者が同サービスを導入することで「深夜・早朝帯の配送」に対応でき、配送サービスにおいて利便性向上や他社との差別化を図ることができるという。通販利用者の配送に対する期待値が高まっている中、今後、深夜・早朝の配送対応も注目されそうで同サービスは通販事業者からも注視されそうだ。
SBイノベンチャーは昨夏から、都内の一部地域在住の一般消費者を対象とした通販商品の配送サービス「Scatch!(スキャッチ)」を展開中。同サービスは利用者宅にネット販売購入商品を「深夜」や「早朝」に配達、または「時間ぴったり便!」と呼ばれる指定時間にピンポイントで届けるもので、利用料金は「早朝・夜間」で1回税抜798円。「時間ぴったり便!」は同2480円。基本料(月額税抜298円)を徴収する利用者は各同398円、同1980円となっている。「スキャッチ」の利用希望者は会員登録後、利用する通販サイトでの商品購入時に配送先を都内の「スキャッチ専用倉庫」とし、当該倉庫に商品が届いた後、提携する軽貨物事業者が当該商品(冷凍・冷蔵品、一定サイズ以上の大型商品を除く)を利用者が指定する時間に利用者宅まで届ける仕組みだ。
1月28日からはこの「スキャッチ」というサービス自体を通販事業者に向けて提供し始めた。「スキャッチ」が公開するAPIにあわせてシステム連携することで、導入する通販サイトは自社顧客に対し、深夜・早朝の時間帯への配送対応(「時間ぴったり便!」は未対応)ができるようになる。「スキャッチ」の配送を使用する受注データが入った場合、提携する軽貨物事業者が当該通販事業者の倉庫に商品を取りに行き、配送する仕組み。最速で受注当日中に顧客のもとに配送可能となる。そうしたスキーム上、連携可能な通販事業者はスタート段階では東京・神奈川・千葉・埼玉などに倉庫を持つ企業に限られる。
今回の通販サイトへの「スキャッチ」の提供開始に合わせ、対象エリアをこれまで都内の港、品川、目黒、渋谷の4区から23区全域まで拡大。対応する商品サイズも従来の「重量5キログラム、3辺合計の長さが100センチ以内」から「25キログラム、160センチ以内」まで増やし、導入サイトはこれを上限に任意で対応する重量・サイズを決められる。また、配送対応時間も現在は深夜帯が午後9時~11時まで、早朝帯では午前6時~8時までだが、今後、数カ月をメドに午後9時~翌午前8時まで(午前12時~午後6時までは2時間、それ以降は1時間の幅で配送時間を指定)と配送対応時間を広げる予定。
当該サービスを導入したい通販事業者は「スキャッチ」が公開するAPIに合わせてシステム連携の準備が必要で1カ月程度の時間がかかるよう。導入時の初期費用などは徴収しないが、利用件数に応じて利用料を徴収する。利用料の詳細は明らかにしていないが「大手配送業者を利用する際と遜色のない費用」(同社)としている。
大手ネット販売事業者などが当日配送や数時間以内に配送するスピード配送などを展開中で消費者も通販の配送サービスの期待値が上がっている。「深夜・早朝配送」についても日中自宅に不在がちな単身者や共働き世帯などは一定のニーズがある模様で、昨夏から展開する「スキャッチ」でもそうした層からの利用が多かった模様。配送サービスの利便性向上策の一環として深夜・早朝配送への対応も今後、通販事業者の間で注目されるかもしれない。
[元記事:EC事業者向けに「早朝・深夜配送」の代行、ソフトバンク子会社が開始]