二子玉川を舞台にした初の大型アートフェスティバル「トーキョーアートフロウゼロゼロ(TOKYO ART FLOW 00)」(以下、TAF00)がついに開幕。期間は、7月29日〜7月31日の3日間。開催前日、メディア向けに一部コンテンツが先行公開された。
TAF00は、東京急行電鉄、カルチュア・コンビニエンス・クラブ、玉川髙島屋S・C、楽天の4社が発起企業となり、二子玉川地域に関わる企業、地域、大学、行政などが参画する実行委員会を発足。アートプロデュースをスパイラル/ワコールアートセンターが行う。
2016年度は第0回として、「Human’s natureー人間の自然」をテーマに、二子玉川駅周辺のショッピング施設、多摩川河川敷エリアで実施する。
メイン会場の多摩川河川敷では、スイスのラング&バウマンによる国道246号の橋脚を利用した、2次元を3次元に組み替える着想のパブリックインスタレーション「Beautiful Bridge #2」が、来場者を迎える。また、映画上映を行う「246シアター」やキャンプファイヤートークなど、夜の多摩川河川敷を使ってグランピングを楽しむコンテンツも実施される。
5月のリリース時には、各所で大きな話題を集めていた体験型のアートフェス。編集部のオススメは、多摩川と一緒に過ごす専用空間として、河川敷に透明な球体に包まれたソファを設置する「Air Stone」だ。実際にドーム型の中に入ってくつろげるアート空間は、行列必至となりそう。
この作品を手がけたSUPPOSE DESIGN OFFICEの谷尻誠は、今回の企画について「外で入浴したりビールを飲んだりと、外のほうが本当は中よりも豊かな気持ちになれるなと日頃から感じていて、中だけど外みたいな状態を作れないかなと考えていた。河原で大きな石が置かれていて、それがそのままホテルになっていたら面白いし、この河原と合ってるのでは?と思った。冬はスキー場に夏はビーチにオープンしたりと、移動できる“透明なホテル”として今後は展開してみたい。」とコメント。吉田愛は、「究極の中間領域を楽しんでいただけたらと思う。五感が膨らむ空間なので、ぜひ体験してほしい。」と加えた。
アーティストチーム「目」による「二子玉川探景車」は、車夫がゆっくりと多摩川沿いの道を回遊する。自然と都市が融合した、二子玉川の魅力を堪能できる、こちらも体験型アートだ。
髙橋匡太と谷川俊太郎のコラボレーション作品「つぶやく街灯」は、多摩川沿いにある実際の街灯をアート作品に。モールス信号で宇宙に向かって交信する、谷川俊太郎によるオリジナルの詩を見ることができる。
さらには、二子玉川駅前の商業施設や街路をはじめとする夜の風景をマゼンタカラーで染めていく髙橋匡太による夜景プロジェクト -マゼンタナイト-「この鐘を鳴らすのはあなた」「おそいおそい詩」「ひかりの実」をはじめ、その他会場では、坂本美雨+CANTUSによるうたのインスタレーション「うたうまち」や、ビームス 設楽洋社長やスマイルズの遠山正道社長など、日本を代表するビジネスリーダーたちが欲しいアート作品をインタビューとともに集めたアートフェア「10MILLIONS」など3日間、街全体を巻き込みながら様々なプログラムが各所で展開される。
なお、ファッションでは、ビームスがコラボレーションで参加。TAF00スタッフがまとうオリジナルバンダナを制作。トイレの紙専門店と多摩美術大学による、オリジナル・トイレットペーパーも限定販売される。
本企画は、多摩川河川敷をはじめとする公共空間をアートの舞台にすることで、二子玉川を新たな東京の文化拠点に位置付けていくことが狙い。29日日没後のオープニングイベントでは、500名規模の提灯行列を開催する。なお、こちらは一般参加も可能。詳細は公式サイトにて。
アートプロデュースを務めたスパイラル/ワコールアートセンターの松田朋春シニアプランナーは、「パブリックスペースをもっと自由に使っていくための実験として、今回はアーティストの作品をたくさん盛り込んでいる。昼も夜も無料で二子玉川の環境を子供から大人まで楽しめるイベントなので、ぜひ参加してほしい。」と語った。
梅雨明けとともに開幕する、初めてのアートフェス。今年はまず、二子玉川のアートな夏を楽しみたい。