COLUMN

【コラム】JICK #03 問題点を知ること



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みなさん、こんにちは。
花粉の舞う季節になってきましたね。

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年々多くなってくる花粉量。原因の一つは間違いなく地球温暖化があります。日本人は10人に3人、アメリカ合衆国では10人に1人が花粉症で悩んでいるみたいです。温暖化の影響により、花の開花時期が早まり、花粉の飛散時期が長くなってしまっているとのこと。そうすると、花粉を吸い込む確率も高くなり、花粉症を発症する可能性が高くなります。量も増え、飛散時期も伸びている現状、毎年変わる環境をよく知って対処していきたいところですね。僕は花粉に対して胡座をかいていたので、とうとう今年から仲間入りっぽいです・・・苦笑。後悔先に立たず、ですね(笑)

さて、今回は世界のコットン事情について少し持論を述べたいと思います。なぜ今、コットンのことなのか??それは皆さんに知ってほしいコトがあるからです。

まず、大凡のお話しですが、世界中で約75%の人々が衣料としてコットン製品を着用しています。そして、皆さんが着ているものに使用されている生地の40%はコットン製品です。さらに、そのコットン産業には約3億人もの人々が従事しているのが現状です。それほど、コットンとは我々の身近なところにあるものなのです。

前回、前々回とあれこれ書いてきました。華やかなファッション業界、その中でなぜ僕がそれぞれのコト(JICK#01 / JICK#02)に注目したか?それは日々日頃から問題点と想っていることに自分なりのアプローチをしているからだと思っています。だから商品の華やかさも大事ではありますが、それよりもこれからの未来にとって大切なことの方が気になるのです。

だって、見た目だけのカッコイイものや安いモノづくりはみんなが一生懸命やっているでしょ。

僕が2008年から取り組み始めたオーガニックコットンでのモノづくり。それはコットンの生産背景の問題点を知ったからでした。自身の会社で起ちあげるブランドは、社会性あるブランドにしたくいろいろと考えていました。そして新しい価値を伴ったモノにするためにいろいろとモノづくりを深く掘り下げたところ、コットン栽培の実情を知ることになりました。

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栽培に対しての問題点はいろいろとありましたが、一番突き刺さったのは“農薬”のことでした。アメリカやインドで起こっている問題を知れば知るほどオーガニックコットンの重要性を自分なりに認識し、決意したときの想いを今でも覚えていますね。それぐらい言葉では知っていたオーガニックコットンの存在が衝撃的でした。
コットンの世界中での栽培量は約2,710万トン。そのうちのオーガニックコットン生産量は約13万8,000トン。
割合で言えばわずか1%にも満たないたった0.5%です。
生産国数の大凡ですが、コットンを栽培している国は約80カ国、その中でオーガニックコットンを生産している国はインド、トルコ、中国、タンザニア、アメリカなど、世界で約18か国。
これが現状です。
そして世界の農作物栽培面積のうち、コットン畑が占める作付面積は約5%。そのたった5%の面積に対して、世界中で使われる農薬(殺虫剤)の約25%が使われています。オーガニック農法でない面積には必ず農薬が使用されます。その農薬がとんでもない劇薬で、先日ご紹介したザ・トゥルー・コストにも出てきますが、栽培者にも環境にも多大なる悪影響を及ぼすのです。

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悪影響というのは優しい言い方かも。綿花栽培において人を死に至らしめるほどの劇薬である農薬を相当量散布し、栽培者を苦しめている。頼らなければ収穫量が減り、収入が減る。そのためにまた沢山の化学肥料や農薬を買うことになり、お金がない農家は借金をする・・・。完全に負のスパイラルに陥ってしまう。借金苦から自ら命を断つ農家の人たちもいます。

そもそもこのスキームで作られている綿花がなぜ必要か?それは、安価な綿を作るためです。安価とは買い手にとっての価値で、造り手としてはもっと高値で買ってもらわないと成り立たない現状なのですが、これらの綿が世界中の低コストで生産され販売されているT-シャツや下着、タオルなどを支えているわけです。世界生産量の約80%がインドや中国、ウズベキスタンなどの発展途上国の人びとによって生産されていますが、その中でもインドはコットン畑の面積、コットン生産量も世界第2位です。そのインドでは耕地の5%がコットン畑。そのわずかな土地に、インド全体で使用される農薬使用量の54%が使われています。わかりますか?この数字の意味が。オーガニック農法で育てられるコットンが増えるコトは、イコールすべての解決に繋がる糸口になります。ようは環境も栽培者も苦しまずに日々の生活ができるようになるわけです。そしてそのオーガニックコットン畑を増やしていくコトは、消費での“選択”で変わってくるんじゃないでしょうか。

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だから僕は後悔しないように仕事の中でオーガニックコットンへのアプローチを始めました。

世界の量産型アパレル業界の年間売り上げは日本円で約13兆円以上。今だけじゃなく未来に向けて発信をし続けるなら、この形でのモノづくりでは売上は続かないだろうし、そのものが存続できなくなるんじゃないかなと。そして僕個人としては繁栄してほしくないとも想っています。あくまでも個人的意見です。

これは決して単に批判する話しでも説教でも皮肉でもなく、僕たちが着る服や衣服を作る人、売る人、そして業界が世界に与える影響の話しです。知ることで、身近なところから変革を起こせるかもしれません。全てではないにしても、少しでも選択肢を増やすことで変わる世界があるということを皆さんに知ってもらいたいです。

劣悪な環境下で育てられる綿花と、人々や環境が豊かで幸せな形で作られる綿花、皆さんはどちらの綿花で作られたモノを選びますか???

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About “JICK”

あなたの軸は、なに?

外見だけかっこつけてないかい?
知っているようで知らないこと沢山あるんじゃない?
そんなのでいいの??

そんなこんなを見直すオトナのインスピレーション連載。オーガニック、エシカル、クオリティ高いライフスタイル。そこに必要なのは、お金よりルックスより、“良いモノはイイ”を見抜いていく感性と、スッと筋の通った真っ直ぐな心の軸。

“進化する感性”を刺激しながら、しっかりとした“軸”をブラさずに。

渡邉俊介

渡邉俊介

投稿者の記事一覧

1978年3月生まれ。三重県四日市市育ち。中学から本格的にサッカーを始め、18歳で渡独。2年半デュッセルドルフでプレーし、帰国後も幾つかのチームを経て99年に一線から退く。マスターズ、シニアカテゴリーでは未だに現役続行中。
2000年6月、実家が縫製メーカーを営んでいた縁もあり企画営業会社を起ちあげ、繊維業界、いわゆるファッションの世界に飛び込む。
アパレル以外もホームファッション、インテリア等、いろいろな分野で企画からモノづくりまで携わりながら、08年ごろからエシカルな世界へ分野を広げる。
09年にオーガニックコットンをクリエイションの中心に据えた<ヴィリダリ デセルタ>を始動。現在は仕事でもサッカーでもいろいろな活動に従事している。

Web 「VIRI-DARI deserta」
Blog 渡邉俊介ブログ~想いから始まる~
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Twitter @shun_viridari
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