トレンドキーワードで読む”ファッション・マーケティング”の最新潮流、今日からでも始められる10のチェックリスト。今回はマーケティングに欠かせないPRとメディアのパラダイムシフトを整理した、#4~6を公開する。
|#4 デジタルPR時代突入、デジタルメディア・SNSで自分のブランドはニュースになっているか?
雑誌ファーストだったファッション業界にとって、シーズン立ち上がり約3~6ヶ月前のメディア向け展示会がPRにおける代表的な一大イベントだった。それが、スマホの普及とデジタルインフラの整備により、発売直前のデジタル上でのPRがより重要になった。また、SNSで顧客にダイレクトに情報を届けることも可能に。これにより、今まで雑誌編集者へのアプローチやスタイリストへのリースがメインだったプレス業務も、デジタルメディアでのニュース掲載とそのためのリリース制作、SNSでの発信力の高いインフルエンサーとの個人的な繋がりの構築、SNSの運用などに業務領域が広がり、優先順位やPR効果の指標も変わった。既に展示会やリース業務を実施しないブランドも現れ始めている。旧来型のファッションプレスを脱し、デジタルファーストなPR活動を真摯に取り組めるか否かが、命運の分け目となるだろう。
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|#5 ファッションメディアをコンテンツパートナーとして、戦略的な取り組みを行っているか?
グローバルでは、ショートリードとロングリードにメディアをセグメントするPRの考え方がある。これは情報提供から露出に至るまでのリードタイムの違いだ。雑誌はロングリード、デジタルやテレビ、新聞はショートリードとなる。#4に記したように、情報伝達の流れは確実に変化しており、デジタルメディアとの関わりは不可欠だ。ショートリードであるデジタルメディアでのPRが奏功すれば、情報発信から拡散、認知や購入に至るまで、短いスパンで可能になる。また、2015年もファッション誌の休刊やリニューアル、デジタル移行のニュースが後を絶たなかった。雑誌誌面への単なるタイアップ出稿ではなく、メディアが持つ”編集力”を自社のコンテンツ開発に活用する取り組み事例が頻出している。これら2つのアプローチ、ショートリードとロングリード、それぞれが持つ特長と役割を巧みに使い分け、戦略的パートナーとして取り組んでいくことがキーファクターになっているといえる。なお、ハースト社は、「ウェブサイトも運営している紙媒体の出版社」から、「紙の雑誌も発行するデジタル・パブリッシャー」への転身を図ると表明。メディアサイドもビジネスモデルの変革が急務であることを象徴している。
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|#6 自社の情報を価値のあるコンテンツに変換し、ブランドサイトを情報発信基地としてメディア化できているか?
どんなにデジタルメディアで話題化していても、デジタル時代の情報鮮度(賞味期限)は3日といっても過言ではない。ファッションの優先順位が下がった今、 溢れるような情報がスマホを通して生活者には降りかかっているのだ。そうした環境下では、ブランドと顧客がダイレクトに繋がる仕組みづくりが必須になってくる。そのマーケティング手法の一つが、国内ではコカ・コーラ社が端を発したとされる、”企業サイトのメディア化”というトレンドだ。2015年はファッション業界でも、ブランドサイトを情報発信基地としてメディアのように開発する”オウンドメディア強化”の流れがより顕著になった。ジーユーによるWEBマガジン「ジーペーパー(G.PAPER)」がモデルケースの一つといえる。ブランドの情報を価値のあるコンテンツに変えられているか?そのまま流してないか?、情報発信のための”編集力”が企業にも問われている。
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-#7以降に続く
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