【七十二候とは?】
私達は季節を大きく4つに分け、季節の訪れに気づき楽しんでいます。
古くから親しまれてきた暦「二十四節気・七十二候」をご存じでしょうか?
昔の人は季節を72種にも分け、5日ごとに変わる季節を楽しんで生活していました。
一年に72もの季節に分けて生活をおくっていた感覚とは?
季節の移り変わりを感じながら生活をおくる心地良さとは?
そんなコトを考えながら、花屋の目線で、季節にあった草花を探して紹介します。
|第四十四候 鶺鴒鳴く(せきれいなく)
9月12日〜 9月17日頃は「鶺鴒鳴く(せきれいなく)」。
鶺鴒が北から戻ってきて、鳴きはじめる頃。「せきれい」は世界的にみると九州から北海道までにしか生息していない日本の特産種の野鳥です。昔は北海道に多く生息し、冬になると南下して越冬する渡り鳥だったそうです。昔は北から戻った鶺鴒の鳴き声は秋の訪れを知らせる合図でもありました。現在は、残念ながら環境や気候の変化で、本州・九州でも一年中見かけられる留鳥(りゅうちょう)となっています。
日本書紀では、男神の伊弉諾尊(イザナギノミコト)と女神の伊弉冉尊(イザナミノミコト)に、子作り(神生み)の方法を教えたということから「恋教え鳥」という異名をもっています。日本書紀の完成は720年、神話に登場する位、古くから馴染みの深い日本特有の鳥です。
この時期に選んだ植物は、鳥が好みそうな「紫式部」の実になります。シソ科の落葉低木で、日本に古くから各地の林等に自生している樹木のひとつ。口にしたくなる程、紫色の美しい果実をたわわに実らせます。
例えるなら小粒の葡萄みたいでしょうか?鳥たちは、野に自生する紫式部の実を実際に食べています。人間にとっても有毒ではないので口にはできます。味は薄く、渋みと、かすかな新鮮な香りと、プチプチした食感を楽しめますが、ほとんど食用には用いられません。
名前の由来は、夏に咲いた花が終わった後、紫色の実をびっしりつける事から「ムラサキシキミ」と呼ばれていたものが、いつの頃からか平安時代中期の作家、歌人(源氏物語の作者)である紫式部を連想させて、そう呼ばれるようになっています。
グリーン・紫色の実が美しいので観賞用に栽培され、この時期お花屋さんで販売されています。ドライフラワーとしても長く楽しめる魅力的な植物です。
flower & photograph by yosuke sugawara