梅雨の訪れとともに、室内で過ごす時間も増えてくるこの頃。室内空間の環境づくりは、仕事効率やリラクゼーションタイムに大きく作用する。中でも、5つの感覚の中ではおろそかになりがちな、でも脳にダイレクトに響く”香り”という嗅覚の部分から、環境を整えてみては。今回は、店舗や商業施設、公共空間の香り演出を手がけるリーディングカンパニー「アットアロマ(@aroma)」のアロマ空間デザイナー 武石紗和子さんに、ストレスレスな空間作りをナビゲートしていただきました。
Photo: J.L.F.S Text: Madoka Takano Edit: F.M.J.magazine
#01 アロマで空間をデザインする「アットアロマ」とは
ー まずは、アットアロマさんが展開するサービスについて教えてください。
天然の香りによるアロマ空間デザインサービスをメインで行っているのですが、いろいろな機能を持つ天然の香りの機能性と、インテリアに合わせてデザインする感性的なデザイン性の2軸からアプローチしながら空間を作り上げています。嗅覚は視覚の次に感情に働きかけると言われている感覚なので、企業やお店のブランディングに役立てる企業やブランドが増えています。
ー 伊勢丹、ANA、SHIPS、LEXUSなどのショップや、星野リゾートや富士屋ホテルなど、様々な導入事例があるのですね。
海外も含めると3,000ヶ所以上で導入されています。オリジナルデザインの香りの開発してほしいという依頼も増えていて、ANAさんや伊勢丹さんオリジナルの香りなどは、空間で体感するだけでなく、実際アロマオイルとして販売しているところもあるんです。お店の香りを持ち帰りたい、同じ香りを家でも楽しみたい、というお客様も増えてきたので、一般の方にも楽しんでいただけるようにこちらの神宮前店が2013年にオープンしました。
ー 店頭には瓶がずらりと並んでいますが、どのくらいの種類の香りを扱っているのですか。
約80種類のアロマオイルを販売していますが、全てデザイナーの手でブレンドしたものになります。アットアロマのアロマオイルは100%自然素材なのですが、ブレンドすることでその機能や効果を高めています。6つのカテゴリーから選んでいただけます。
ー 沢山の種類があって、どれを選んでいいのか分からない方も多いかと思うのですが、初心者でも選びやすい方法などありますか?
まずは6つのカテゴリーのうち、シンプルにブレンドしたシリーズ「ボタニカルエアー(Botanical air)」から選んでみるのがおすすめです。「B01 オレンジグレープフルーツ」など、植物の魅力が分かるようなラインナップになっています。
または、「サプリメントエアー(Supplement air)」というシリーズがあるのですが、「S01 ウェイクアップ」や「S03 スタディー&ワーク」など、何をするときに使うのが良いかというのを切り口にしているので、目的やシーンに合わせて選んでみるのもいいかもしれませんね。
ー 香りにもトレンドがあったりするのですか?
少し前だとフランキンセンスという香りが流行ったりしました。美肌効果があるということで人気になりましたね。最近では、日本の植物を使った香りが注目されているように感じます。ホテルなどでも、“アロマだけどお香のような香り”といったようなご要望があります。星野リゾート 青森屋さんでは、青森ヒバを使ってオリジナルの香りをお作りしました。
ー 自分の好きな香りをオリジナルでブレンドできると伺いました。
コンセプトストアではアロマオイルブレンダーを設置しています。シャワーのように香りを体感しながらブレンドできる体験型アロマブレンドマシーンになります。12種類の基本の香りに加えて、店舗ではシーズンごとに変わる3種類の香りをプラスした15種類から自分好みの香りをブレンドしていきます。
ー ブレンドするときのポイントなどありますか?
お客様にアドバイスする際は、アロマを使うシーンであったり、場所や目的を伺っています。お好みの香りももちろん伺うのですが、ブレンドすることによって全く違った世界観になるので、”ラベンダーが好きです”という方がいたとしたら、目的にあった相性がいい香りや、違うフローラル調の香りもご紹介するとか、色々なバリエーションを見ていただきながら選んでいただくのが良いかと思います。
ー では、編集部でもアロマオイルブレンダーを体験させていただけますか。“ローズ系が好き”、“リラックスしたいとき”、“子どもにも抵抗がない香り”というキーワードで武石さんにナビゲートしていただきたいと思います。
ローズが好きであればがゼラニウムがお好きですかね。“ローズのような”とも言われる甘い香りなのですが、葉っぱから取れる香りなのでそこまで甘すぎないのが特徴です。子どもにも馴染みやすいものであれば、柑橘系を入れるといいかと思います。さらに、リラックス効果のあるものといえば、人気の高いラベンダーや鎮静効果のあるベルガモット、ウッド系のホーウッドという柔らかい木の香りもおすすめです。最後に、空間に馴染みやすくしてくれるユーカリを。空気をきれいにしてくれる効果が期待できるので、風邪予防にも好まれる香りです。
ー ひとつブレンドする毎にシャワーから香りを体感し、確かめながらブレンドしていくことができます。こうしてできあがった香りはレシピと共に購入できます。ゼラニウム、グレープフルーツ、ホーウッド、ユーカリのブレンドは、華やかさもありながらほっと落ち着く香りでした。
#02 ストレスレスな香りを3つのテーマとともに
ー では、ストレスレスになれる香りというテーマで、おすすめのエッセンシャルオイルを店頭のラインナップの中から選んでいただきましょう。「くつろぎのひととき」「仕事に集中したいとき」「快眠を促す」という3つのテーマでお願いしました。
Plan 01「くつろぎのひととき」
ー まず最初に、自宅リビングでゆっくり読書する時間などくつろぎの空間作りにおすすめの香りを教えてください。イメージとしては、自宅がリゾートホテルのように感じる落ち着く香りが理想です。
シーンや気分にフィットする個性的な香りが選べる「デザインエアー(Design air)」シリーズから、「D09 コンフォートリラックス」はいかがでしょうか。ローズをブレンドしていますが、優しさも感じられる香りです。フローラル調なのですが、非日常を感じさせてくれるのでリラックスタイムに最適な香りです。
ほかに、男性におすすめなのは「D08 グレイッシュウッド」です。都会的な印象で、木質系ではあるのですが、スパイスの効いた香りです。スパなどのオリエンタルな趣きがお好きであれば、「B17 レモングラスサンダルウッド」は爽やかさもありつつくつろげる空間にしてくれるので店頭でも人気の高い香りになります。
Plan 02. 「仕事に集中」
ー 続いて、ワークスペースの香りです。いつもの仕事場を洗練されたオフィス空間に変えるというテーマでおすすめはありますか?眠気や疲れも吹き飛ぶ爽やかですっきりとした香りがイメージです。
サプリメントエアーのシリーズから「S03 スタディー&ワーク」がおすすめです。仕事中をイメージした、ローズマリーの香りで集中力を高めてくれる香りです。常に集中していると疲れてしまうので、リラックスできるようなスパイクラベンダーもブレンドしています。
ほかには、オフィスの休憩時間に使っていただくとオープンマインドで過ごせる「D02 アーバンスカイ」や、瞑想やヨガをイメージした香りの「S05 メディテーション」は自分の仕事に集中したいときになどにおすすめです。
Plan 03.「快眠」
ー 1日の余韻を楽しむ、落ちつきのある静かな空間は、誰もが理想とするベッドルームだと思います。そんな心地よい眠りに誘う優しい香りはありますか?
ジャパニーズエアーの「JD08 禅(ZEN)」はいかがでしょうか。ヒノキやクロモジなどの日本の植物を使った香りなのですが、畳や瞑想のイメージで、静かに過ごしたい時におすすめの香りです。ウッド系の落ち着いた香りで、年配の方でも使いやすいかと思います。
ほかには、「S05 スリープ」は鎮静効果が高く、人気のあるラベンダーを中心にブレンドしている、その名のとおり快眠を促してくれる香り。森林浴をしているようなイメージで、呼吸を整えてくれるのが「B12 パインヒノキ」になります。
ー では、最後におすすめのディフューザーをご紹介いただけますか。
当社が展開する一番新しいディフューザー「ソロ(solo)」は、最大40畳の空間に香りが広がるのですが、ここまで香りがしっかり広がるものはなかなかないのでおすすめです。水は使わず専用液を入れて使うので、香りが薄まらず、カビの心配などもないですね。パーソナルな場所で使いたい場合は、USBなどであれば、ご自分のパーソナルな部分だけに広がるディフューザーもありますし、車用なども男性に人気がありますね。用途によって使い分けていただけるといいかと思います。
ー 天然アロマの香りが広がり、まさにストレスがおのずと吹き飛んでいくような店内。オリジナルの香りをブレンドすることで、香りにも詳しくなったような特別感は他にはない体験でした。まずはお気に入りの香りを見つけることから、空間にエッセンスを加えてみてはいかがでしょうか。
STORE INFORMATION.
@aroma store Jingumae
住所:東京都渋谷区神宮前6-23-4 1F
アクセス:渋谷駅・東京メトロ13番出口、明治神宮前駅・7番出口より徒歩5分
営業時間:12:00~20:00 ※日・祝(休前日は除く)は18:00まで
定休日:年末年始
TEL:03-6419-7630
新連載「ストレスレスなこと」────
いま、働き方改革、地方移住といった生き方や暮らし方の価値観が急速に変化しています。読者が求める暮らしのキーワードを「ストレスの無い=ストレスレスな時間」と設定。そんなたいせつな時間を作り出す、至高のツールとして長く愛される、ノルウェーの家具メーカー「エコーネス(EKORNES)」のストレスレス®チェアと共に、いまの時代に即したストレスレスな生き方や暮らし方のヒントを探っていきます。本企画は、エコーネス社が運営するストレスレス®チェアのWEBマガジン「stressless® Moment(ストレスレス®モーメント)」との連動企画です。ストレスのない快適で心地よさを演出するコト、自分らしく人生を楽しむヒトなどを紹介するコンテンツが充実。こちらもぜひご一読ください。