この春、日本に本格上陸を果たしたアメリカ・ニューヨーク発ブランド「サイコバニー(Psycho Bunny)」を特集する企画、“サイコバニーとジェントルマン。”第3弾では、先週来日した、デザイナー、ロバート・ゴドレー(以降、ロバート)氏と共同創業者ロバート・ゴールドマン(以降、ロブ)氏にインタビューを敢行。
今回の日本展開にあたっての心境、ブランド立ち上げ時のエピソード、モノづくりへのこだわり、そして、FEEL-GOOD THINGSまで、お二人に伺った。
PHOTO:JOMON
EDIT:F.M.J. magazine
ー 今回、満を持しての日本での本格上陸となります。いまの心境をお聞かせください
ロバート:今年の2月から12店舗をオープンしましたが、それは日本で展開するジョイックスコーポレーションと伊藤忠商事との強力なパートナーシップで実現できました。これは素晴らしいことです。日本のいろいろなエリアで一挙に展開できたので、どういった商品が日本のお客様に受け入れられるのか、これから学んでいくことが多いと思います。
ロブ:今回、来日して、東京、名古屋、大阪、京都の各都市をまわり、私たちのお店やマーケットを見て、サイコバニーとしてポジティブに感じました。その理由に、商品のプレゼンテーションが非常によくできていることと、お店の場所、ロケーションがとてもよかったことがあげられます。また、どの店でも皆さんに会えて、それはとてもエキサイティングでした。
ー 既に日本でもファンが多いサイコバニーですが、2005年にこのブランドを立ち上げた経緯を教えてください
ロバート:2005年当時、マーケットになにかしらのギャップがあると感じました。いま、世界は次第に小さくなっていて、みんな同じような音楽を聴くし、スポーツをやるようになっています。それはファッションも同じです。そうしたなかで、我々は独自の視点をもった“クラブ”(集まり)を提案したいと考えました。そのうちの一つが、クオリティ。品質の良いものを提案したいと思い、サイコバニーを立ち上げました。
ー お二人ではじめられたのは?
ロバート:約27年くらいの知り合いだったのですが、私はUK出身、ロブはアメリカ出身にも関わらず、ネクタイやファブリック、素材に対して同じパッションがありました。そこで共鳴して、一緒にビジネスをスタートしました。
ー なぜ、このスカル&ボーンズとウサギのロゴマークになったのでしょうか?
ロバート:このロゴには、2つの要素があります。まず、スカル&ボーンズは、パイレーツ(海賊)を連想させるものです。17世紀の海賊は、イギリスのエリアが多かったですが、海賊には民主主義がありました。リスクを冒した人が対価を得る社会、それが海賊の世界であり、考え方です。そして今でも皆さん誰でも、そのような気持ちを持っていると思います。ちなみに私の息子も、パイレーツの物語が大好きなように、子どもも共感できる考え方です。
一方でスカル&ボーンズには、ネガティブな感情を持つ方もいると思うので、キュートで愛されるようなキャラクターである、ウサギを合わせました。また、ウサギは力強い足を持っていて、速くて強いという側面も持っています。私も子供の頃、テディベアではなく、ラビットの人形をもらった思い出があります。
ロブ:ロゴブランドは、そのロゴに対して好きな方と嫌い方に分かれますが、サイコバニーの場合はたいていの方はこのロゴを見て、好印象で捉えて頂けます。
ロバート:京都店に行った際に、お買い物しない方でも、ロゴの写真を撮る方がたくさんいました。余談ですが、うさぎ神社として有名な、岡﨑神社にも行きました。次行く時も、サイコバニーをそこに連れて行きます(笑)。
ー そういった意味では、日本では展開ありませんが、アメリカではキッズも人気なのでしょうか?
ロブ:アメリカ本国では、ヤングボーイズラインとして限定店舗で扱っています。父の日に、息子とペアでポロシャツを着て頂いたり、とても人気です。子供用だからと品質を落とすのではなく、大人用も子供用も変わらないクオリティで作っています。
ー ぜひ、日本でも展開を期待したいですね。いま、クオリティの話が出ましたが、ブランドとして、アイテムづくりの基準や、大事にしていることを教えてください
ロバート:まずは、いかにしてよいモノを作るか、というところから考えます。素材選び、縫製、刺繍などのディテール、ボタンなど、一つひとつを厳密にチェックしていきます。特にネクタイは、素材のよしあしでほとんど決まってしまうので、特に素材選びを重要視しています。
ロブ:創業当初から、工場を見るのは大事だと思い、ペルーの縫製工場まで視察に行ったりと、二人で工場に必ず行って、働く方々とよい関係を構築するということを心がけています。
ー F.M.J. magazineでは、ご自身の名をつけた世界初の新ドレスライン「ロバート・ゴドレー」を特集しました。ドレスがなかったことも意外ではあるのですが、今回の新ラインについての想いをお聞かせください
ロバート:アメリカでユニフォームといえば、ポロシャツなんです。そうした方々にポロシャツやTシャツを提案するのは、簡単なことで、スーツとタイというのは、難しい面もあります。一方で、日本の方は、ネクタイをして着飾ることに誇りを持っていると思います。ドレスというアイテム自体にも馴染みがあると思います。日本でこの「ロバート・ゴドレー」ラインが成長していくことが楽しみです。
ー アメリカでは、ドレスは特別なものなのでしょうか?
ロブ:ビジネスや特別なパーティーシーンなどで着る機会はもちろんあります。ただ、まだ我々も創業から約10年経ったばかりなので、スポーツジャケットなどを実験的に展開しながら慎重にやっているというのもあります。今後は日本での展開で、スーツとカジュアルの両方が展開されていくという点でより楽しめるブランドになっていくと思います。
ー 今後の展開について、なにか新しい挑戦や目標があれば、教えてください
ロブ:日本では、お店を4〜5店舗はオープンしたいと思っています。新たにEコマースも展開したいと思っています。
ロバート:デザインでは、グラフィックのプリントアイテムの開発に時間を費やしていきたいと思っています。
ー 日本にはよく来られますか?好きなものがあれば、教えてください
ロバート:最初に日本に来たのは、21歳のときです。年2回は来ています。今は日本の知り合いも増えましたし、そこからジャパニーズカルチャーなどいろいろなことを学んでいます。食べ物では、寿司を年々好きになってきました。私は釣りも好きなので、自分で釣ったものはすぐ食べてしまうのです(笑)。
ー 日本で好きな場所はありますか?
ロバート:今回、京都に初めて行ったのですが、とても気に入りました。今回は時間がなかったので、次はゆっくり巡りたいです。あとは、スキーも好きなので日本でやりたいです。山だと、富士山に自転車で登った思い出もあります。
ー 最後に、私たちのWEBマガジンは、“FEEL-GOOD THINGS for YOU!”をテーマとしているのですが、お二人にとってのFEEL-GOOD THINGSを教えてください
ロバート:家族と一緒いる時間や自転車に乗っている時、船で海にいるとき、など何も考えなくていい時が好きです。そういう時に限って良いアイデアが浮かんできます。あと、ロブとの旅もFEEL-GOODです(笑)。
FEEL-GOOD THINGSのファクターとして、小さな変化をしていったほうがいいかなと思っています。いま、人生のスピードがとても早くなっていたりとか、選択肢が多過ぎる時代になっているように感じています。
例えば、携帯を会社のデスクにしまっておいて、いつもと違う道を通って通勤してみるとか。一回だけでいいから、24時間、携帯電話から離れる生活をしてみたら、よいのかなと思います。私も釣りのとき沖では圏外になり携帯が使えなくなります。
―海の近くに住んでいるとお聞きしました
ロバート:今はニューヨークの街から離れて、ロングアイランドに住んでいます。海の隣りなんです。片道2〜3時間かけて通勤しています。
― 日本でも、そういう方が増えているので、共感する方も多いと思います
ロバート:GOOD TRENDですね(笑)。
ロブ:我々のサイコバニー自体が、FEEL-GOODブランドです。お客様が来た時に、FEEL-GOODを感じてもらえるようなブランドでありたいと思っています。
お二人は、この後国内の旗艦店、渋谷店でのショッピングイベントに参加。当日は、ブランドのコアアイテムといえる、ポロシャツやTシャツなど、国内未展開アイテムを販売。多くの顧客や業界関係者が来店し、今回の上陸を祝した。
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問い合わせ先/ジョイックスコーポレーション 03-3486-1573