1億2,000万人の中から、誰かと誰かが引き寄せられ出会うように、
全国3万5,000軒の中から、お気に入りのラーメンと出合うことも運命的です。
6年前、東銀座で一杯のラーメンを食べてから、美味しいラーメンを求め食べ歩き、
くぐった暖簾の数だけドラマがあります。
その感動をお伝えしたい、僕があなたを連れて行きたいお店がここにあります。
ゲスト : 柿本陽平さん / BLOOM&BRANCH ディレクター
3月1日(土)、青山の骨董通りに新しいセレクトショップ「BLOOM & BRANCH(ブルーム&ブランチ)」がオープンした。このセレクトショップを企画・ディレクションしたのが、友人のカッキーこと柿本陽平・BLOOM&BRANCHディレクターだ。先日、そんな彼からメールが入った、「そろそろ服買いに来なよ」と。そんな訳で、オープニングレセプションにお呼ばれされて以来、お店に向かったのだった(もっと早く行けよって話)。
店入口と入口から見た店内。骨董通りを歩くと、広い入口から雑貨が見えるため、吸い込まれるようにして店に入ってしまう感覚
お店のコンセプトは、和洋折衷を根幹に置き、衣・食・住に対してルーツを掘り下げ、伝統とそこからの革新を求め、日本人が本来備え持つ美の感覚を大事にする、というもの。老舗の専業ブランド、各地で生活を支えてきた民藝、今に受け継がれるヴィンテージやアンティークなども置いている。
靴磨き職人が常駐するシューシャインバー「THE BAR by Brift H(ザ・バー バイ ブリフト アッシュ)」
「OBSCURA COFFEE ROASTERS(オブスキュラ コーヒー ロースターズ)」プロデュースによる「COBI COFFEE(コビコーヒー)」
因みに、今回僕が購入したのは、特におススメだという、オリジナルブランド「Phalnnel(フランネル)」のデニムトラウザー。ブラックデニムのようだが通常のインディゴらしい。聞くと、一般的なデニムは縦糸にロープインディゴ糸、横糸に綿生成りの糸を打つが、これは縦糸にグレーの糸を打つことによって独特の風合いとこの裏地の色になるそう。これはヴィンテージのペインターパンツにルーツを持つ技法。デザインはUS ARMYのヴィンテージチノ「41KHAKI」と「45KHAKI」のディティールを合わせたもので、まさにコンセプトにあった「ルーツを掘り下げ、伝統とそこからの革新を求めた」デニムなわけだ。これを9分丈ダブルで裾上げすれば、革靴に合わせる”大人デニム”の完成。
「Phalnnel(フランネル)」デニムトラウザー ¥22,000(税抜)(BLOOM&BRANCH AOYAMA/03-6892-2014)
前置き(お店紹介)が長くなったが、そろそろ本題に入ろうと思う。彼は20代の終わりに、これまで長く勤めていたセレクトショップのプレスを辞め、これまでやっていた仕事内容とはまるで別のものを、それも開店準備期間中にすべてやってのけた。前職の退社を決意したときから今日まで、何かと色々とあっただろうと想像できる。そして今この瞬間も様々なことと戦っているのだろう。本当の勝負はこれからだからだ。
デニムを試着していたときに、彼がお店に並んでいたシャツを手に取りながら「これすごくカッコいいでしょ?おれ、次はこれ買おうと思うんだ」と言いながら笑った。その顔は、約8年前だろうか、一緒に働いていたときの顔そのもので、閉店後に皆で試着し合っていたあの記憶がよみがえった。僕はまるでタイムスリップしたようだった。
下段左が若かりしカッキー、下段右が若かりしマッキ―(8年前くらい)
後日、敢えて彼には連絡せず裾上げしたデニムを受け取りに行った。店内を見て回ると、お店のディスプレーや空間、商品に至るまでどことなく彼の存在を感じた。きっとそれは、ヒトモノコトといわれるように、彼が純粋に真摯にスタッフと商品と空間と向き合ったからこそ、その”思い”が宿っているのではないかと思った。
その純粋な気持ちをこれからも忘れないでもらいたい、そんな思いを込めて彼にはこのラーメンを誘ってみよう。新宿の麺屋海神だ。毎日新鮮な魚を仕入れ、そのアラから丁寧にダシをとっている。びっくりするほど透き通ったスープが特徴で淡泊ながら旨みがギュッとつまっている。しかも、毎日仕入れる魚が異なるため、日によって違う味を楽しめるのかもしれない。「BLOOM&BRANCH」も真っ直ぐ純粋な気持ちのまま色々なアジを出していってほしい。
Ramen with you…
麺屋海神
住所:東京都新宿区新宿3-35-7 さんらくビル 2F
TEL:03-3356-5658
営業時間:11:30~15:00、16:30~23:30 ※日は11:00~23:00
定休日:不定休
URL:なし
牧羽 貴彦 Takahiko Makiba
1982年8月27日生まれ
ナノ・ユニバースを経て、INFASパブリケーションズのWWD beautyへ。
そのユニークなキャラクターに業界内のファンも多い。Instagram上では、連載で紹介していないラーメンやその他のグルメも見ることができる。
Instagramアカウント @makibat