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2016年のファッション業界を振り返る、5つのキーワード【ファッションマーケティングの最新潮流まとめ】



|5 2017年のファッションマーケティングは「ストーリーブランディング」がカギ

広告業界誌「月刊販促会議」が「デジタル販促」を2017年1月号で特集していたが、ファッションマーケティングもまさに「デジタル」+「販促」が昨今の重点課題になっていることは言うまでもない。

限られた1日の生活余暇時間を自社ブランドにどうしたら時間を割いてもらえるか、といった“生活”者の視点でマーケティング施策を考えなければならない。

そのためには、「一方的な企業都合の“広告”ではなく、つい見たくなる“コンテンツ”が重要」というコンテンツマーケティングの重要性がいわれて久しいが、広告業界では、その成功事例と失敗事例がケーススタディ化した段階だといわれている。

とはいえ、業界特有のアナログ体質と前述の業界全体の不振が続くため、ファッションにおいてはまだ模索段階にあるといっていい。オウンドメディアでの顧客とのコミュニケーション強化、LINEやインスタグラムなどのSNSからの集客、自社EC化率の向上など、課題は山積みだ。

2016年のファッションマーケティングで見られた主な潮流は、ブランドサイトや自社ECサイトのメディア化。雑誌のマーケティング予算が減らされ、デジタルマーケティング、コンテンツづくりに予算を移行する動きがより顕著になった。実際、ユナイテッドアローズや、アダストリアなど、オムニチャネル先進企業が一定の成果を出しているようだ。

これは、「良いものをつくれば売れる」という時代が終わり、読者・ユーザーに「どう届けるか」という自社を“編集する力”が企業サイドにとっても、不可欠になっていることを示している。これまではそれを雑誌の編集力に頼ってきたが、情報洪水や出版不況により、企業自らが情報を編集し、発信していくことが求められているといえる。

ただ、「オムニチャネルの推進」を戦略として掲げる小売企業は多いものの、実態としては進んでいないことも多い。それは、「社内の組織編成がオムニチャネル(シームレス)化されていない」という内的要因が大きく影響していると感じる。デジタル化が遅れている企業の経営者や事業責任者は、2017年はまず、社内の組織体制やその現状を見直すことから始めるべきかもしれない。

|「感動と価値を売る、ストーリーのあるブランド」かどうかという視点

ここまでの、手法や仕組みとしてのデジタル化の流れを組み込むのはいうまでもない大前提。ただそれ以前に大切なことがある。

F.M.J.では、2017年のファッションマーケティングの最重要キーワードは、「ストーリーブランディング」であると考える。

モノと情報が溢れ、何が正しいか、本当に良いものなのか、わからなくなっている日本の成熟したマーケットでは、ブランドや商品、それに関わるヒトの裏側に隠された“物語”を付加価値として伝える、「ストーリーブランディング」という考え方が出てきている。

「消費者はモノではなく体験を買っている」と寺尾玄社長も自ら語るように、”体験”を提供することをコンセプトに家電業界に新風を吹き込んでいる「バルミューダ(BALMUDA)」が好事例だ。

ファッションでは、「旅するルイ・ヴィトン」「GUCCI 4 ROOMS」など、ラグジュアリーブランドの体験型イベントがわかりやすい事例といえる。雑誌「アンド プレミアム(& Premium)」2016年11月号の特集「みんなのストーリー。」や、雑誌「シュプール(SPUR)」のナショナル・ファッションストーリー・プロジェクトも同じ着眼点なのではないだろうか。

テレビでいえば、「アナザースカイ」「しくじり先生」「家、ついて行ってイイですか?」など、ドキュメンタリータッチや人生におけるエピソードを語る番組が多いこともそれを裏付けている。

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「ストーリーにヒトは感動する。」

2017年は、いま一度ブランドのコンセプト、モノづくりの背景、自分たちの裏側で言ってこなかったことを整理、見直して、コミュニケーションの伝え方をシフトする計画から、まず始めてみるといいかもしれない。そして、そんな「ストーリーテリング」とその「体験をデザイン」できるブランドのニュースこそ、メディアを賑わせることになるのでは。

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